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ウラジオストク自由港法による極東ロシアにおける物流円滑化

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シニア・コンサルタント

大原 みれい

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日通総研ニュースレター ろじたす 第30回ー④(2017年10月23日号)

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【Global Report】ウラジオストク自由港法による極東ロシアにおける物流円滑化フランス、パリの運輸分野の政策

Здравствуйте!(ズドラーストヴィチェ)
皆さま、こんにちは。大原と申します。7月に同部署の那智と極東ロシア出張に行きました。日通総研には女性コンサルタントが4名いますが、今回は珍しい女性2名だけでの出張、女子旅でした。

日本においては、物流やSCMの仕事はまだまだ「男性の仕事」であることが多いのではないでしょうか?その一方、ロシアでは多くの女性が物流業界で活躍しており驚きました。先方も女性2名で、打合せメンバー全員が女性のこともありましたし、女性のマネジャーも多かったです。また、ロシアは美人が多いです!「ロシアのロジ美女」も大変気になりますが、今回はウラジオストクをメインにロシア物流について紹介したいと思います。

ウラジオストク自由港の現状

極東ロシアにおいては、2015年に優先的社会経済発展区域(TOR)およびウラジオストク自由港が新たな特区として設けられ、入居企業に対する行政手続きの簡素化や税制面での優遇措置など、投資誘致政策が積極的に進められています。

ウラジオストク自由港の対象は、ウラジオストク市やナホトカ市を含む沿海地方の20市・地区となっており、TORと同様の優遇措置を受けることが可能となっています。
物流に関わるところでは、①通関・検疫のワンストップ化、②国境ポイント(港湾・空港)の24時間稼働化、③海上貨物の到着事前通知の義務化などがあります。新法のもとでは、①植物検疫や動物検疫を税関が実施することとなり、通関および検疫の窓口がワンストップ化されました。また、②ウラジオストク自由港内の全ての港湾、およびウラジオストク空港の通関ポイントが24時間対応になるとされていますが、まだすべての国境ポイントで実現はされていません。ウラジオストク港およびボストーチヌイ港では、荷役オペレーションのほかトランジット手続きがすでに24時間対応になっています。トランジット手続きについては鉄道のスケジュールとの関係上24時間対応となりましたが、輸出入申告への対応は、まだ24時間化されていないとのことです。③については、対象港湾以外の港湾でも事前通知が可能となっていますが、対象港湾では、すべての海上貨物について、到着前に通知をしなければならなくなりました。事前通知がない場合は、税関のリスク管理システムにより、リスクを含む貨物として扱われることになるそうです。①~③はいずれも、到着後の通関手続きやトランジット手続きを迅速化するための取り組みとなっています。

また、ロシア全土において、HSコード(関税番号)の事前教示制度、通関申告の電子化なども始まっています。実際、ボストーチヌイ税関では、輸出入通関については100%、トランジット手続きについても96%が電子申告になっているとのことです。

ロシアの貿易・通関手続きに対する国際評価

しかし、世界銀行の2017年「ビジネス環境ランキング」によると、ロシアは総合ランキングで190ヵ国中40位であるのに対し、“Trading across Borders”という貿易に関する項目では140位です。同じく世界銀行による2016年“Logistics Performance Index”(LPI、物流パフォーマンス指標)では、総合では160ヵ国中99位ですが、通関手続きの効率性に関する項目では141位と、低い評価となっています。また、2017年の日本経済団体連合会によるアンケート調査では、ロシアビジネスの問題点として「輸出入手続きの問題」が第2位に挙げられています(不透明かつ煩雑な通関手続き、必要書類が多く許認可手続き等にかかる所要日数が長い、など)。2016年のジェトロによるアンケート調査でも、「通関手続きの電子化」や「必要書類の削減」については「改善している」との評価もみられますが、「通関などの諸手続きが煩雑」、「通関に時間を要する」がそれぞれ問題点の第1位、第2位に挙げられていました。

このように、ロシアの通関事情に関しては一定の評価はされているものの、日露貿易促進のためには、通関手続きに関するさらなる改善が必要とみられているようです。
本年度も日露首脳会談等が活発に行われており、ヤマル半島などのLNG開発、北極海航路、シベリア鉄道など、日本ビジネス界においてもロシアへの注目度が高まっています。極東ロシア、特にウラジオストクは「2時間で行けるヨーロッパ」です。滞在日数8日間以内の簡易ビザ制度も始まりましたので、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

ウラジオストク商業港

ウラジオストク商業港:
鉄道駅が港湾敷地内にあるためドレージ輸送の必要がなく、鉄道との積み替えがスムーズにできます。

ウラジオストク商業港

ウラジオストク商業港:ブロックトレインの編成

InterRailの皆さんと(左から2人目は日通総研の那智)

InterRailの皆さんと(左から2人目は日通総研の那智)

日本で使用されていた中古トラックを見かけます。(ドアに「・・酒店」の文字を発見)

日本で使用されていた中古トラックを見かけます。
(ドアに「・・酒店」の文字を発見)

Vostochnaya Stevedoring Companyのマネジャー (ロシアの“カジュアルフライデー”の装いです。)

Vostochnaya Stevedoring Companyのマネジャー
(ロシアの“カジュアルフライデー”の装いです。)

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