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プラス・ワンの国、カンボジア・ラオスの今

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顧問
(流通経済大学 流通情報学部 教授)

大島 弘明

日通総研ニュースレター ろじたす 第9回ー③(2016年1月18日号)

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【Global Report】プラス・ワンの国、カンボジア・ラオスの今

(連載第8回)新興国の物流最前線

先月、カンボジアとラオスに物流の実態調査に行ってきました。ご存知のように、この両国はいずれも、外資企業にとっての「チャイナ・プラス・ワン」、「タイ・プラス・ワン」の進出先として、またアセアンにおける東西経済回廊、南部経済回廊の経由地として注目を集めています。

まずカンボジアについてですが、2012年以降、600社強の日系企業が進出しており、縫製品や機械部品をはじめとする製造業や、商社、観光業などの業種が目立っているとのことです。特にカンボジアは、南部経済回廊の真ん中に位置することから、今後も「タイ・プラス・ワン」としての進出が増えるとみられています。

しかしながら課題も多く、首都プノンペンでは、地価がこの10年間で約400倍にも高騰し、賃金も年々上昇しています。インフラ面では、国内の主要幹線道路であるとともに、南部経済回廊の一部を形成している国道1号線において、メコン川を跨ぐ橋として日本の援助により造られたネアックルン橋(つばさ橋)が今年4月に開通。従来のフェリー利用に比べて大幅に輸送時間が短縮され、物流の活性化が期待されています(第4回ろじたすにも掲載)。
しかし、国道1号線とネアックルン橋は概ね順調に走行できるのですが、プノンペン郊外の接続部約4㎞がまだ工事中のため、通過に30分以上を要する渋滞が発生していました。

製造業等の進出に合せ、日系物流事業者も進出しています。ここで話題に上るのが、前述の南部経済回廊(タイ~カンボジア~ベトナム)を利用するトラック輸送サービスです。
ネアックルン橋開通で、海上輸送から陸上輸送に切り替わるのではとの見方もありましたが、海上輸送に比べてコストが高いため、すぐにシフトするということはないとの声が聞かれます。
しかし、さらにインフラ整備や通関手続きの簡素化などの条件が整ってくれば、トラック輸送へのシフトが進むとの期待も少なくありません。

写真 1:プノンペンの国道1号線の郊外接続部 (約4㎞がまだ工事中)

写真 1:プノンペンの国道1号線の郊外接続部
(約4㎞がまだ工事中)

ラオスについては、東西経済回廊(タイ~ラオス~ベトナム)の一部を形成していますが、人口が約650万人と少ないこともあり、日系企業の進出は、カンボジアに比べてまだまだ少ない状況です。
それでも中部のサバナケットのSEZには、日系の精密機械機器メーカーや縫製業等が、主に「タイ・プラス・ワン」の機能を果たすべく進出しています。このサバナケットは、タイとラオス国境のメコン川を渡る第2友好橋(2006年開通)により、東西経済回廊の拠点都市として位置づけられています。
実際にタイ-ベトナム・ダナン等の中部エリア間の行き来には適当なルートではありますが、タイ-ベトナム・ハノイ間の輸送には、第2友好橋の上流約110㎞のターケークにかかる、第3メコン友好橋(2011年開通)を使ったルートの利用が増えているようです。
その理由として、第3メコン友好橋経由の方が走行距離が短く、また通関体制が24時間体制となったため、通行時間の制約がないことがあげられていました。なかなか進まないと言われてきたアセアン域内のトラックによる3国間輸送ですが、このように少しずつ変化がみられるようになっています。
ラオス政府では、道路や鉄道などの交通インフラや工業団地、物流拠点の整備、物流に関する法整備などにまだ時間を要するとしていますが、その状況が日々改善されていることは間違いありません。

写真 2:第3友好橋の通関施設

写真 2:第3友好橋の通関施設

両国とも、政府関係者の次世代の担い手を欧米や日本に送り出して育成しており、これらの人材が育った数年後には、着実に変貌が期待できるのではないかと感じたところです。

http://www.jta.or.jp/rodotaisaku/kyogikai/pdf/Shipper%20recommendation%20system%20Leaflet.pdf


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