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車の常識を変える自動運転技術

日通総研ニュースレター ろじたす 第9回ー②(2016年1月18日号)

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【News Pickup】車の常識を変える自動運転技術

完全自動運転車の開発で、物流業界はどう変わる!?

Googleが完全自動運転車両を開発し、自動車メーカー各社でも公道実験が行われるなど、自動運転技術の開発が急速に進んでいます。
自動運転が実現すると、通勤、輸送、観光など様々な場面に影響し、物流業界も大きく様変わりする可能性があります。
そこで、まずは今後の自動運転技術の導入により物流業界がどのように変革を遂げていくのかを考えるベースとして、自動運転技術の全体像について解説したいと思います。

CMでもお馴染みになりましたが、運転操作が不要な自動運転車が、公道を走る時代もすぐそこまで来ています。自動運転技術が実用化されると、どのような影響があるでしょうか。
まず、交通事故はなくなり、トラックは時間通りに到着するようになります。また、運転が自動化されることによって、ドライバーが長時間運転から解放され、労働環境が改善することでドライバー不足問題の解決に繋がるとも考えられます。
さらに、制御技術の向上により車両の振動や揺れが減少し、積載荷物の品質保持(ダメージ軽減)が容易になり、簡易な梱包で済むようになるかもしれません。

このように、今までの輸送環境を激変させると期待されている自動運転ですが、政府のロードマップにおいても完全自動運転を目指すことが明記されており、2020年東京オリンピックに向けて技術開発を加速させていくようです。

自動運転技術の目的には大きく「安全・安心」と「経済効率性」の2つがあります。
「安全・安心」では交通事故の予防や回避、「経済効率性」では渋滞緩和、燃費向上、走行快適性の向上などがその主たる目的とされています。

次に自動運転技術とはいったいどういうものなのか、ということについて見てみます。自動運転とは、人間の運転行動を代替し、システム化したものです。人間の運転行動は、認知→判断→操作の順で行われており、例えば、前後、左右を見て車両がいないことを確認し、車線変更を判断してからハンドルを切る、という順に行動をとっています。この行為を代替するものが自動運転技術です。

出典:保坂・青木・津川 「自動運転 システム構成と要素技術」 森北出版株式会社 2015

出典:保坂・青木・津川
「自動運転 システム構成と要素技術」
森北出版株式会社 2015

また、自動運転技術には、ドライバー支援から完全自動運転までいくつかのレベルがあり、ひと言で自動運転と言ってもどのレベルを指しているのかが曖昧です。このため、国土交通省や米国運輸省道路交通安全局など関係各所では、そのレベルについて詳しく定義していますが、その内容は、大きく「運転支援」と「完全自動運転」の2つに分けることができます。

「運転支援」は、運転者が常時座席にいて緊急時には人が対応することが前提となっているもの。一方、「完全自動運転」は、運転者が不要で緊急時もシステムが対応するもの、とされています。

具体的な「運転支援」技術としては、現在、実装が進められている衝突被害軽減ブレーキや、車線逸脱警報などがあります。その中でも衝突被害軽減ブレーキや車両安定制御装置(カーブで転覆、横すべりしないように制御する装置)は、トラックやトレーラなどの貨物自動車を含むすべての新型車、継続生産車で順次装着が義務付けられています(例外あり)。

一方、「完全自動運転」やそれに近い技術としては、Googleが発表したハンドル、アクセル、ブレーキなどの操作装置がない車両や、テスラモーターズが出している緊急時以外は運転者対応を必要としない自動走行車両などがあり、欧米で開発が活発に行われています。
我が国でも政府が2020年代後半以降に、完全自動運転の市場化を目指すとしており、国内各社で技術開発が進められています。
最近では、画像解析による認知技術でのブレークスルーや3Dマップの開発により、完全自動運転の実現もそう遠い未来のことではなくなってきています。

写真: F015 ラグジュアリー・イン・モーション (メルセデス・ベンツ 完全自動運転車両)

写真: F015 ラグジュアリー・イン・モーション
(メルセデス・ベンツ 完全自動運転車両)

このような完全自動運転に近い形での公道実験は各社で行われており、まずは障害物の少ない高速道路での自動運転化が有望です。
また、関連技術として、自動車とインターネットを接続した「コネクティッドカー」の開発も見られ、インターネットから得られる情報で制御できるようになるなど、自動運転技術の領域はこれからもますます広がっていきそうです。

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