共同便で配送費削減? ~共配検討のアプローチ~
日通総研ニュースレター ろじたす 第4回ー③(2015年8月17日号 )
【Consulting Point】共同便で配送費削減? ~共配検討のアプローチ~
配送コスト削減方法の一つに、いわゆる物流「共同化」のテーマでもある、共同便による配送(共配)があります。当社でも、荷主企業の共同物流プロジェクトに参画し、長年共配の検討実務に携わってきました。共配検討実務でもっとも難しいのは、『どのように多数の配送先の中から、「効果」(=コスト削減)創出可能な共配先を発見するのか』という点に尽きるかと思います。
当てずっぽうではうまくいかず、現行のいわゆる調査・分析が必要となるからです。
今回は少し実務的な観点から「『効果』創出可能な共配先を見つけ出す」方法についてお話ししたいと思います。
図 1:共配のイメージ図
まず、現状の積載率を把握することが大切です。共配の「効果」創出は、輸送効率向上によって実現されます。したがって、なるべく大量の貨物を積み合わせできる配送先を探さなければならないのですが、この際、配送する商品の荷姿(例:ケース、パレット積付、オリコン等)によって同じ荷台サイズでも積載できる量が変わることを考慮することが必要です。
当社では「積載基準」という手法を使用して現実に即した最大積載量を推定しています。細かい推定手法は割愛しますが、過去の輸送実績データより、配送毎の使用車両と車両ごとの積載実績情報の分布状況を参照することで、車格別のおよその基準となる積載量を算出し、この積載量を積載率 100%として設定しています。
この「積載基準」を基にした積載率を参照し、配送や納品の実態に即して積載率が「高い/低い」といった評価を行うことが、共配先を見つけ出す第一ステップとなります。
配送先ごとの積載率がわかれば、次にその中から、更に共配「優先度」の高いものを探してみましょう。
優先度の判断については、効果面からみる場合と、実現面からみる場合の二つの観点があります(図 2)。
図 2:共同配送における優先度設定のポイント
効果面は共同配送によるコスト削減額が大きいものを優先するという考え方で、例えば配送手段は現状貸切り便(車建て)を使用しているものの方が物量あたりの運賃負担が重いため、共配優先度は比較的高いと言えます。逆に既存配送手段が路線便(個建て)であった場合、物量当たりの運賃負担額は車建てと比べ軽いため、共配によるコスト削減額は期待できず、優先度は比較的低いとみなされます。
また運賃負担ということでいえば、同様に配送先までの距離も優先度を決める要素となります。配送距離が長い程、既存運賃が高いため、共配時に享受できる効果金額も大きくなると期待できるからです。
実現面で確認すべきことには、先に説明した積載率と、納品時の仕分け条件があります。積載率が低い配送先同士の方が、共配実現性が高いことは、すぐご理解いただけるかと思います。納品時の仕分け条件を考慮しなければならない理由は、仕分け条件が細かい場合、荷台内も仕分けられた状態で商品を積載しなければならず、荷台スペースを有効利用できない(積載率向上が難しい)要因となり得るからです。
こうして設定した優先度に応じ、まずは効果創出余地の大きい、優先度の高いものからより具体的な検討に入られることをお勧めします。
「『効果』創出可能な共配先を見つけ出す」方法として、一つは積載率の把握、そして優先度の設定というアプローチをご紹介させて頂きました。弊社で行う共配検討の取り組みの場合、このあと積み合わせ条件、そして納品条件を整理し、具体的な効果の試算に入るのですが、今回はここまでとさせて頂きます。
皆様の中に、配送車両の効率的な利用に課題を抱えていらっしゃる方がおりましたら、まずは手持ちの情報を用い、こういったアプローチから共同化に向けた課題発見、効果(=コスト削減)の糸口を見つけて頂ければ幸いです。
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