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アジアの冷凍冷蔵食品市場とコールドチェーン整備の重要性

日通総研ニュースレター ろじたす 第27回ー②(2017年7月18日号)

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【News Pickup】 アジアの冷凍冷蔵食品市場とコールドチェーン整備の重要性

ますますの発展が見込まれるアジア地域で、成功を収める鍵は物流スタッフ教育!?

アジア地域では、2015年末にASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国から成る経済共同体としてAEC(ASEAN Economic Community;アセアン経済共同体)が発足したこともあり、今後も高い経済成長と市場拡大が期待されています。東西・南北の経済回廊、南部経済回廊などのインフラ整備が進むなか、通関等諸手続きの煩雑さや往復荷量のアンバランスといった物流上の課題はあるものの、全体として物流量の増加が見込まれます。
今回は、アジア地域における冷凍冷蔵食品市場と日系コンビニチェーンの進出状況をみながら、アジア地域のコールドチェーンについて考察してみたいと思います。

アジア地域では、経済成長や人口増加などを背景とした物流量の増加に対応する、より効率的な物流システムの構築が課題となっています。そうしたなか、通常の貨物と同様に一定品質を備えたコールドチェーン(低温物流体系)整備の重要性が一層高まっていくのではないかと考えられます。

ASEAN諸国を含め、アジア地域全体における冷凍冷蔵食品の一人当たり市場規模は、欧米諸国に比べて低い状況にあります(図1)。見方を変えると、今後の食生活の多様化や、家庭における冷蔵庫・電子レンジ等の普及により、冷凍冷蔵食品の需要が伸びる余地が高いのではないかと推測できます。

図1: 冷凍冷蔵食品の一人当たり市場規模比較(2013年)

図1: 冷凍冷蔵食品の一人当たり市場規模比較(2013年)

出所:㈱日本政策投資銀行「今月のトピックス 2015年4月20日 拡大するアジアの低温/低温物流」より日通総研作成

また、注目したいのが、日本のコンビニエンスストア(CVS)のアジア地域への出店状況です。各社のマーケティング戦略・出店戦略の違いにより、国ごとの出店数に偏りはありますが、アジア地域全体における出店数は相当な数に上っています(図2)。日本市場のCVS飽和感に鑑みても、今後も海外出店数の増加が続くと考えられ、それに伴い冷凍冷蔵食品の需要も増加することが予想されます。

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図2:日本のコンビニチェーンのアジアへの出展状況

出所:セブン・イレブンHP/ローソン「VALUE BOOK第42期報告書」/ ファミリーマートHP/ミニストップHPより日通総研作成

商品需要があればそこに物流ニーズが発生しますが、冷凍冷蔵食品を取り扱う場合、温度管理を維持できるコールドチェーンが必須になります。現状、アジアでは経済成長と相まって、進展度合いに差はありつつも、各国ともコールドチェーンを構成するハードウェアとなる冷凍冷蔵倉庫や保冷車、リーファーコンテナなどの整備が進みつつあります。
しかし一方で、商品管理などのソフト面については、貨物を取扱うスタッフの品質に対する意識が一定水準に達していないといった課題があります。コールドチェーンでは、決められた温度の継続的な維持管理が求められます。「溶けてもまた凍らせば問題ない」「短時間であれば保冷しなくても品質に影響ない」などといった意識がスタッフの中にあるようでは、コールドチェーンに必要な品質維持・管理はできません。

今後、アジアで拡大するであろう冷凍冷蔵食品の需要に物流が対応していくためには、ハード面の整備だけではなく、スタッフに対する施設管理や商品温度管理についての教育が非常に重要になります。商品が店頭に並ぶまでの間に、物流に携わるスタッフ全員が食品の安全・安心に対する意識を一つにして、まさに“温度トレーサビリティ”の確立を目指す必要があります。

アジア地域では、コールドチェーンをいち早く整備した事業者が、拡大する冷凍冷蔵食品市場の恩恵を受けると推察できます。コールドチェーン構築の成否は、日本と同等レベルのオペレーションができるスタッフを育成できるか否かに左右されると言っても過言ではありません。そういった意味で、各国の文化や国民性に適した効果的な教育方法を模索していく必要があります。教材については、保管や荷役方法など、ある程度どこの国でも共通する部分は、日本のマニュアルを現地言語に翻訳して活用するのが効率的です。いずれにしても、コールドチェーン整備の過程で、現地スタッフに対する効果的な物流オペレーション教育の在り方を検討していく必要があると考えます。

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