カザフスタンの生活概況と道路事情
日通総研ニュースレター ろじたす 第8回ー③(2015年12月21日号)
【Global Report】カザフスタンの生活概況と道路事情
(連載第7回)新興国の物流最前線
今回はカザフスタン最大の経済都市であるアルマトイ、そして、そこから中国との鉄道国境の街であるドストゥイクへ至る道路状況についてレポートします。
カザフスタンは、中央アジアに位置する旧ソ連の構成国のひとつです。
旧ソ連時代には、豊かな穀倉地帯と非鉄金属の豊富な埋蔵量から、資源産出地域に位置付けられていました。現在でも資源大国とされており、主要な産業は「鉱業」「農業」「冶金(やきん)・金属加工」です。
イスラム教徒の比率が高い国で、郊外では伝統的な遊牧民生活が残っていますが、都市部ではロシアや欧州に近い生活様式になっているように感じました。
さて、アルマトイはカザフスタン南東部の政令指定地区で、人口は150万人程度、随所にロシアの雰囲気が見られます。また、カザフスタン総人口の約10%、GDPの20%を有する経済都市で、一人当りGRPは19,000USD、2014年7月度の平均月収は823USDと裕福な地域です。
街中を走る乗用車は、日本メーカーやドイツメーカー(特に、Mercedes-Benzの人気が高い)が多く目立ち、市内から空港へ至る街道沿いには、日本や欧州メーカーの自動車販売店が多数軒を連ねていました。
飲食店は欧州風の造りの店が多く、ファーストフードではケンタッキーフライドチキンが進出しています。
大型のショッピングセンターやモールの存在は、アルマトイの消費力の大きさを伺わせる光景と言えるでしょう。
図:アルマトイ州の地図と視察ルート
アルマトイ近郊の道路状況は良好で、平均時速100㎞/h以上で走行しても問題ありません。ただし、郊外では道路の補修工事をしているところを多く見かけます。
カザフスタンでは、5年間で150億USDの国家予算をインフラ設備投資に振り分けることが、大統領令として発令されており、道路の補修工事もこの一環として実施されています。
ドストゥイクは、中国(阿拉山口)から続く鉄道国境の街です。現地の鉄道関係者に車で来たことを伝えると、「日本人は物好きだ」と笑われました。それほどに、ドストゥイクへ至る最後の100㎞程度の道路状況は劣悪です。ドストゥイクでは鉄道開発が優先され、道路インフラの整備は後回しになっているとのことです。
近年、中国企業によるドストゥイク-阿拉山口間のトラック輸送貨物が増えているのですが、この劣悪な道路状況では、荷崩れや振動に対する懸念がある貨物の輸送は難しいでしょう。
途中、中国との道路国境ホルゴスへの分岐の街である、サリオゼク手前でTIR(Transport International Routier:道路輸送される国際貨物の通関手続を簡素化する条約に則った貨物輸送)の車両を見かけました。
現在、中国はTIR条約に加盟していないため、中国発欧州向けトラック貨物は、コルゴス国境周辺でトラックを積替えることになります。
2016年に、中国はTIR条約に加盟する予定です。今後、モノの流れを変える可能性を秘めたトピックなので、情報が入り次第、皆様にお知らせしたいと思います。
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