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米国~メキシコ間国境、ラレードで見た長大な陸上輸送

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シニア・コンサルタント

菅 浩一

日通総研ニュースレター ろじたす 第6回ー③(2015年10月19日号 )

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【Global Report】米国~メキシコ間国境、ラレードで見た長大な陸上輸送

(連載第5回)新興国の物流最前線

今回は前回に続き、アメリカ大陸東海岸側、メキシコ~米国間の国境付近にあるテキサス州ラレード(Laredo)を訪問した際のお話をしたいと思います。

図 1:アメリカ・メキシコ国境地図

図 1:アメリカ・メキシコ国境地図

ラレードはメキシコ・シティから約1,100㎞北に離れた場所に位置しています。
現在、メキシコ~米国の国境線には52の陸上国境ゲートがあり、メキシコから米国への輸出貨物の80%は道路輸送されています。米墨間の陸上国境を通過するコンテナは、トラック、鉄道ともにラレード(米国)~ヌエボラレド(メキシコ)間のゲートの利用率が最も高く、トラックでは全体の約33%、鉄道では全体の約46%を占めており(2010年)、国境越えの要と言える場所となっています。
しかし、ヌエボラレド国境付近は、2000年代に入ってからメキシコ麻薬戦争のあおりで治安が大変悪くなっているため、現地の方々さえも夜間は国境付近に近づかないよう気を付けているそうです。

ラレードでは、ドレージ業者のトラクターヘッドの切り替えにより両国間のピストン輸送が行われ、通関ポイントである国境の橋梁を、1日平均約6~7千台もの多くのトラックが行き交っています。近年ではメキシコ・米国間の相互乗入協定が締結され、米国のトラックもメキシコ国内に、国境から約220㎞の距離の地点(セカンドボーダーと呼ばれます)まで乗り入れているようです。
クロスボーダーのドレージ業者のほとんどはメキシコの事業者で、ドレージ輸送だけ(!)を専門に行っている事業者が多いそうです。

写真 1:国境ゲートを通過するトラック

写真 1:国境ゲートを通過するトラック

写真 2:国境の川を渡る貨物列車

写真 2:国境の川を渡る貨物列車

また、国境となるリオ・グランデ川では、川をまたぐ鉄橋を長大な貨物列車がゆっくりと通り過ぎる、とても印象的な風景を見ることができました。
国境付近で米国とメキシコの機関車の交換が行われ、メキシコの機関車が米国からきた貨車をけん引していきます。北米のコンテナ貨物列車、ダブル・スタック・トレインも見ることができました。
北米では1980年代後半から輸送効率を高めるため、コンテナ2段積みの列車(DoubleStackTrain)が導入されています。米国の貨物鉄道はディーゼルカーが主体で架線がないため、コンテナを2段積みで輸送できます。
45ftの海上コンテナや53ftの長大なコンテナが、線路近くまで床の高さを落とした窪んだ形のウェル・カー(WellCar)と呼ばれる貨車に2段積みされ、バルク貨車、タンク貨車などと一緒に運ばれていきます。
ウェル・カーは、主に40ft海上コンテナ用と、北米で利用される53ftドメスティックコンテナ用の2種類となっています。
下段に40ftコンテナ1つ、もしくは20ftコンテナを2つ乗せ、その上段に45ftや53ftコンテナをスタックする、といった組み合わせも見られます。

写真 3:ダブル・スタック・トレイン

写真 3:ダブル・スタック・トレイン

前回、北米の鉄道コンテナは、トラックに合わせて53ftサイズが主流となっていると書きましたが、これは2010年代に入り、運送会社が効率化を進めるためダブル・スタック・トレインの使用率を高め、53ftコンテナにシフトしたことによるもの。
それまで主流であった48ftトレーラーとコンテナは、現在ではほぼ姿を消しています。鉄道輸送・トラック輸送ともに、コンテナの長大化による輸送効率化が図られ、さらには複数の輸送機関を組み合わせて一貫輸送するインターモーダル化が進められています。

今年6月には、日本通運が米国発メキシコ中央高原向けに、日系企業としては初めて米墨間の鉄道・陸送混載サービスを開始しました。
日系企業もこれまで以上にロジスティクスやマルチモーダルへの取組が求められると思われ、メキシコの物流動向は今後もますます見逃せないものとなるでしょう。

http://www.jta.or.jp/rodotaisaku/kyogikai/pdf/Shipper%20recommendation%20system%20Leaflet.pdf


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