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今、再び注目を集めるRORO船

日通総研ニュースレター ろじたす 第27回ー④(2017年7月18日号)

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【Logistics Mode】 今、再び注目を集めるRORO船

“RORO船”という船をご存じでしょうか。物流用語辞典などでは、「船首、船尾あるいは船側に開口部を設け、ランプウェイを渡して、船倉内に自動車やトレーラ、フォークリフトが入り込める構造の船」などと説明されています。“RORO”とは“Roll-on、Roll-off”の略(諸説あります)で、車輪のついた器具を使って積み卸しを行う船となります。フェリーに似ていますが、フェリーは旅客を中心に誰でも利用できる船舶であるのに対し、RORO船は貨物や貨物自動車が利用する船舶となります。基本的には人は利用出来ません(トラックドライバーなど11人までなら人の乗船も可能)。

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写真1:RORO船 ランプウェイと船開口部

さて、昨年6月に境港が実施したRORO船の試験運航に関わる業務の一環として、RORO船に乗船する機会に恵まれました。私が乗船したのは、境港→敦賀港→苫小牧港の近海郵船「ひだか」号(総トン数11,185トン、13m換算で160台の車両が載せられます)です。

RORO船の中は、想像以上に広い空間があり、3層構造になっています。ただ、広いといっても、この中で15mを超えるトレーラが走り回ることを考えると、決して広い空間とは言えません。船内には、乗船したドライバーさんが使える寝室と食堂のほか、共同ですがお風呂もあり、十分に休息がとれる環境にあります。

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写真2:船内の様子

普段、利用がない境港では、時間をかけて慎重に車両の積み卸し作業が行われましたが、普段から利用されている敦賀港などでは、夜間にも関わらず、スピーディーに作業が行われます。岸壁、スロープ、船倉入口の誘導員が連携して車両を誘導し、次々にトレーラが船内に入っていきます。船倉入口では、入ってくるトレーラ毎に停車する位置を指示していきます。積み込まれたシャーシは船倉で揺れても大丈夫なように、ラッシングベルトと呼ばれる紐でしっかりと床などに固縛されます。農機や重機なども輸送されますが、包装ができないため、傷が付かないように特に注意して取り扱われます。これらの作業はものの5分程度で終わり、次々とシャーシが積み込まれていきます。船舶のバランスを取るため、船内のどこにどの車両を止めるのかは、乗船寸前まで決められません。ある意味“神業”です。

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写真3:ラッシングベルト

今回の運航では、比較的天候が安定していましたが、冬期の日本海は海が荒れることも多いようです。しかし、このサイズの船舶であれば、欠航になることは少ないようです。そのため、この航路は北海道と関西地域を安定的に結ぶ“大動脈”となっており、農産物の収穫期にはフル稼働で毎日運航されています。

日本では、2000年代から燃料価格高騰等の影響で、RORO船やフェリーの航路の多くが廃止されてしまいましたが、今でも約30航路の定期航路が運航されています。先述した通り、一般には旅行などの目的で利用できないため、どこからどこへ・いつ・いくらで利用できるのかを調べるのも一苦労であり、それを知っている人は大変少ないと思います。

現在、再びRORO船にスポットライトが当たっています。それは、RORO船を使用することで、ドライバーが自宅に帰れるようになったり、乗船中に船内で休憩が取れたりするようになり、トラックドライバーの労働時間短縮や負担軽減へつながる可能性を秘めているためです。昨今、こうした需要を見越して、新規航路を開設する船会社や、境港をはじめとして、航路開設・誘致に取り組む自治体も出てきています。なかなか情報が少ないRORO船ですが、皆さんも輸送力確保の方策として、一度利用を検討されては如何でしょうか。

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