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リテールテックと物流~ 【2】スタンダード・コグニション(米国)

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アマゾンは、Amazon Goの技術を自社店舗の展開にのみ使い、他社には提供しないのではないかと噂されています。アマゾンは高級スーパーのホールフーズ(約500店舗)を買収したため、仮に外展開するにしてもそちらが先とも。これは物流分野で倉庫ロボットのキーバ・システムズ(現アマゾン・ロボティクス)を買収した時と同じ状況です。実際キーバのロボットはアマゾンのフルフィルメントセンターのみで利用されています。【3】で紹介予定のトライアルカンパニーも自社で店舗を有していますが、アマゾンや同社のようにリテーラーなのにIT技術、IoT/AIに優れている会社はそう多くありません。既存のリテーラーがリテールテックを取り入れるには、通常は外部の協力が不可欠となります。

倉庫ロボットの場合、グレイオレンジ社のバトラーやGeek+などの類似商品が出、アマゾン以外の荷主、物流業者も利用できる環境ができました。リテールテックでも【1】のサインポストやいくつかのベンチャー企業が名乗りを上げています。その内の一つ、画像認識技術とAIを駆使したリテールテック、シリコンバレーの雄がスタンダード・コグニションです。同社も実験店舗の「スタンダード・マーケット」をサンフランシスコにオープンし、動画をユーチューブで公開しています。以下リンクからご覧ください。

スタンダード・マーケット

まあ、動画を見るとスタンダード・マーケットはシアトルのAmazon Goストアと比べて規模も小さく商品数も少なく見えます。ラックの並べ方なども両脇に並べてあるだけで、通路が非常に広い単純な形状です(まあ実験店舗ですからね)。ユーザーの立場から言えば、Amazon Goもスタンダード・マーケットも基本は同じように見えます、アプリを立ち上げて店に入り、欲しいものを取ってそのまま店を出ていくという行為だけになるので。ポイントは取ったものが正しくチャージ(課金)されているかという、認識技術の精度でしょう。またこのシステムを買って導入するリテーラーの立場から言えば、認識技術の精度とともに、導入のし易さ、導入コスト、メンテナンスなどのランニングコストなどが気になるはずです。

スタンダード・コグニションが複数のメディアで語っていることをまとめると、同社システムの特徴は以下になる模様です。どうしても「Amazon Goと比べて」となってしまいますね。

  • カメラのみで画像認識を行っている(アマゾンはカメラとその他センサー使用)
  • カメラの台数が圧倒的に少ない
  • 台数が少ないので、導入が速くコストも安い
  • メンテナンスも楽で安い

これも倉庫ロボットの時と同じなのですが、上記特徴をキチンと数値で比較できるのはしばらく無理でしょう。速い、安いなど条件を合わせた数値は表に出てこないからです。それを前提に話を進めますが、要は同社はAIによる画像認識技術に自信を持っており、カメラだけ、しかも少ない台数で対応できる、を強みとしているようです。サンフランシスコのスタンダード・マーケットは27台のカメラを利用しているとのこと。アマゾンだったら同じサイズでどのようなハードウェアとソフトウェアの規模を有するのか分かりません。またトライアルカンパニーもカメラ700台という話でしたけど、これもスタンダード・マーケットとはサイズも店舗内の複雑度も全然違いますから単純比較できません。

但し、カメラ数が少なくシステムが簡素(比較して)という事であれば、導入コストとスピード、メンテナンスコストと手間が有利、というのは理解できます(おいくら有利かは分かりません)。まあ認識率との簡易度のトレードオフ関係になると思われます。いかに導入コストが安くても、認識率が低くミスばかり起こると店舗としては損をしてしまいますので。

Amazon Goより簡易にシステムを構築できるとなれば、特に「既存店舗」への導入には有利になると思います。同社は今年10月、日本国内で化粧品・日用品・一般医薬品卸事業を展開するPALTACと提携することを発表しました。まずは東北地方で主に展開しているドラッグストアチェーンの薬王堂の店舗に同社のシステムを導入していくとのことです。ドラッグストアはSKU数も多いですし、スタンダード・マーケットとは大きく環境も異なり「いきなり大丈夫か?」と思いましたが、AIに自信があるのでしょう。店舗がオープンしたら、仙台の牛タン目当てに是非視察に行きたいですね。

ブロックチェーン技術の物流分野での活用状況

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