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物流DXが加速中!「AIを上手に使える能力」が中心的な業務能力になる!

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シニア・コンサルタント

宮里 隆司

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もはや「ウェブ検索」は時代遅れの「死語」になりつつある

弊社の最近の物流ブログで人気のある記事からキーワードを拾ってみると「2024年問題」「コロナ禍」「火災防止対策」「国際輸送」「節電」「健康起因事故」「人事評価」「働き方改革」「トラック運賃」「交通安全対策」など、数々の差し迫ったテーマが浮かび上がってきます。

ここでは、このことを少し別の視点から考えてみることにします。これまで物流業界で仕事をしている皆様は業務上の差し迫ったテーマや関心のある話題に関してどのようにして知見を得ていたか。つまり、従来、どんな手段を使って情報を集めていたのかという視点です。

従来のやり方は、ブログ記事やニュースサイトなど、インターネット上に散在している関連情報を検索するという方法でした。検索によって見つけた多数の記事を時間をかけて読み比べながら知見を得るという「ウェブ検索」というやり方だったはずです。

ウェブ検索は、昔の「本や雑誌、新聞などを書店や図書館で調べる」という方法に比べれば、かなり効率は良くなったといえます。しかし、相変わらず時間と手間のかかる作業です。なぜなら、探している知見にぴったり合致した記事が見つかればよいのですが、大抵の場合、部分的な情報だったり、ピントがずれていたりして、なかなか一つの記事だけで足りるということは少ないからです。

そこで、報告書を作成するにしても、複数のブログ記事やニュースサイトなどの記事を読み比べ、報告内容に沿って文章を一から自力で書き上げるという大変に手間のかかる作業が必要でした。

「ウェブ検索能力のある生成AI」の登場で激変する仕事のやり方

こうした従来のやり方に代わって、今、物流業界でもGPT-4Vといった最新の生成AIを活用し、AIにウェブ検索から内容のまとめまで一気通貫でやってもらうという仕事のやり方が広がり始めています。実際に使ってみると、これまでのウェブ検索というやり方が原始時代の石器レベルに思えるほど、衝撃的な体験です。

なお、2023年の前半頃までは、ChatGPTなどの生成AIは「最新の情報について回答できない」とか「ウソの内容を平然と答える」といった弊害が語られていました。しかし、あっという間に、そうした弊害は克服されるか、あるいは特性に合った使い方が知られるようになり、実用上の支障がなくなっています。

2023年末の執筆時点では、「AIを上手に使える人」にとって、既に何の問題もなく有効に活用できる状態になっています。具体的には、各種の生成AIがウェブ検索能力を身につけ、今では最新の情報についても直接ウェブを調べた上で、要約を表示してくれるようになっています。しかも、参照先のURLをきちんと付けてくれるので、原典をチェックすることも容易です。

また、利用者側も生成AIの特性について「何でも知っている百科事典的な存在」という従来の誤った認識から、「思考能力のある人工的な知性」という正しい認識に変化しつつあり、その結果、特性に合った使い方ができる人が増えています。つまり、単純に情報を調べるというウェブ検索の代替手段という使い方を卒業して、従来なかった解決手段を新しく発案してもらうといった生成AIの特性を活かした使い方に利用者側が進歩しているのです。

結局、「AIを上手に使える人」かどうかが分かれ目

パソコンを使いこなすことが業務能力の重要な要素となったのは1990年代でした。これと本質的にはまったく同じ現象が、現在、急速に進行しています。「AIを上手に使える人」になるかどうかで、圧倒的な業務能力の差が生まれつつあるのです。

そして、業務能力の差はこれからさらに拡大していきます。実は、AIの進歩は現状で終わりではありません。そもそも既に現状でも多くのことができるようになっています。例えば、レポートや原稿の下書きなどをさっと作成してくれますし、英語から日本語への翻訳もお手のモノです。さらに、返信メールの下書きを書いてくれるだけでなく、エクセルのマクロなどもサクッと作ってくれます。さらにはPythonやJavaでプログラムの原案まで制作してくれますのでプログラマーは仕事量がかなり削減できるようになっています。

しかし、これで終わりではありません。現在、さらに大幅に能力アップしたAIであるAGI(汎用人工知能:Artificial General Intelligence)の開発が急がれており、早ければ2024年中にも登場する可能性があります。なお、このAGIは、人間のような汎用的な知能を持つ人工知能を指しています。つまり、AGIが登場すると、さまざまなタスクに対して人間と同様の知識や能力を持ち、独自の学習や問題解決ができる能力を持っていますので、活躍の範囲が飛躍的に拡大することは確実です。そのようなAGIを使いこなせるかどうかは、物流分野で仕事をする人にとっても圧倒的な能力差を生むことになるでしょう。

なお、ここで注意すべき点は、AIがAGIに進化するということは、そうしたAIを頭脳として動くロボットや自動運転車なども当然、高度知能化するということです。単にAIが賢くなるだけでは済まないわけです。結果的に、例えばトラックドライバーは自動運転車や運転能力のある人型汎用ロボットに役割を交代することになるでしょう。また、荷役についても高度知能化した人型汎用ロボットが24時間365日勤務で業務を遂行するようになることが予想されます。

つまり、従来、人が行ってきた企業活動は、それほど遠くない時期に、ことごとくAI・ロボットに代替されるようになるのです。では、人の役割はどうなるのかが気になります。人中心の企業活動がAI・ロボット中心の企業活動に変化すると、人の主な役割は「AI・ロボットを上手に使いこなすこと」にシフトしていきます。なぜなら、AI・ロボットは人に指示された作業を黙々とこなすだけであり、自分で勝手に何かをするということはないからです。人には「指示を与え、企画・構想を考える」という重要な役割が残ることになります。

というわけで、今のうちから「AIを上手に使える人」になれるように、ChatGPTなどでしっかり練習をしておきましょう。その能力こそが、これからの物流パーソンの主要な業務能力になるからです

(この記事は、2023年11月28日時点の状況をもとに書かれました。)

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