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省人化を実現するAIの画像認識ソリューション

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シニア・コンサルタント

福井 康雅

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昨今、様々な業界において人手不足を解消するための自動化・省人化の機器が実用化されているのを皆様も目にされているのではないでしょうか?物流業界でも自動倉庫やAGV、無人フォークリフトなど最新技術を持った物流機器が導入されつつあります。こういった自動化・省人化の流れの中で、最新テクノロジーであるIoTを使ったビッグデータの収集、AIによるデータ分析と予測を行なうソリューションなどが出てきており、中でもAIによる画像識別の技術はここ数年で飛躍的に進歩しました。今回はAIによる画像識別技術が物流業界に及ぼす影響について探ってみようと思います。

流通業での画像識別技術の進展

流通業界でのAI活用はここ数年で大きな進化を遂げています。最近話題になっている棚卸業務での画像認識技術の利用事例を紹介します。Bossa Nova社(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)が開発した商品棚管理ロボットは店内の通路を人や障害物を避けながら走行して商品棚をカメラ撮影してクラウド上にアップロードして、カメラを通じて得た商品棚の画像をAIがリアルタイムで分析・解析して、商品の位置・値段・在庫数などの情報を店舗に送信する機能を持っています。店舗内の置き場所が間違っている商品、在庫切れの商品、価格が間違っている商品を人手を介さずに迅速に把握することができます。

図1 在庫管理ロボットBossa Nova (出典Bossa Nova Webサイト)

図1 在庫管理ロボットBossa Nova (出典Bossa Nova Webサイト)

2019年にアメリカのウォルマート社の300以上の店舗に導入されており、2020年1月にニューヨークで開催されたNRF(アメリカ最大の小売展示会)では最新機「Bossa Nova 2020」が発表されました。この最新機は画像識別の精度が上がり、薄型で小さな店舗の狭い通路でも利用できるようになっています。RFIDタグを付けることができない生鮮食品については、在庫数のカウントはできませんが、空きスペースの情報を通知するという機能が追加されました。生鮮食品の在庫数カウントはこれまで通り人の作業になるけれども、空きスペースへの商品の補充はできるので売上の機会損失にはつながらないという考え方です。在庫管理の完全自動化にこだわることはやめて、機械ができない部分は人間がサポートする仕組みで作られています。

物流業での自動化の課題

工場で作った商品を店舗に届けるという役目を担っている物流業はいわば製造業と流通業の橋渡しをする業界です。自動化・省人化に対する考え方は製造業と流通業では若干異なります。製造業は従来からのモノづくりに対する強い稔侍があり「特定作業でのミスのない高精度の自動化」を求める傾向にありますが、流通業は先程紹介した「Bossa Nova」にも顕著ですが、「機械ができる部分は機械に任せる、機械でできない部分は人間がサポートするという柔軟な自動化」でも受け入れられる土壌があるようです。
物流業の自動化に対する考え方はどちらかと言えば製造業寄りの考え方で、特に工場内物流倉庫はこの傾向が強いです。また3PL業者の物流倉庫は荷主によって作業内容が異なるため業務の標準化が難しいこともあり、製造業、流通業よりも自動化、省人化へのハードルが高い傾向にあります。物流業も人手不足に悩まされているので、特定作業で省人化する機械をすぐにでも導入したいけれども、その特定作業が多岐に渡り、費用対効果を考えると自社での投資は厳しく、荷主がその費用を負担してくれない限りは導入が難しいという状況に陥っています。

物流業の自動化・省人化に向けて

物流業でも自動化・省人化に向けた様々な試みが行われており、ドローンを使った夜間の棚卸業務は世界中で多くの会社が実証実験を行なっています。これは夜間の人がいない倉庫の中をドローンが移動して、カメラでRFIDタグを読み取って在庫確認をするというものです。ドローンは空中で完全な静止ができないのでタグの読み取りに時間がかかるという問題があり、現時点ではまだ実用化までこぎつけていませんが、近い将来に製品化されることが期待されています。
夜間の無人棚卸作業についてはドローンよりも先にBossa Novaのように倉庫内の通路を自律走行して在庫確認をする機器が実用化されつつあるので、将来的には棚の下段は自立走行ロボ、自律走行ロボがRFIDタグを読めない上段の棚はドローンでタグを読んで、両方の情報をクラウド上でマージしてAIが分析してユーザーに結果を送信するという方法が出てくるかもしれません。

図2 物流機器システム売上の業種別比率 (出典 日本物流機器システム協会)

図2 物流機器システム売上の業種別比率 (出典 日本物流機器システム協会)

上記の図は物流システム機器売上の業種別比率を表したものです。「倉庫・運輸」の比率は昨年よりは上昇していますが、製造業や「卸・小売」の流通業よりは低い比率です。倉庫・運輸業のコスト負担力が製造業や流通業よりも低いという事情もあるでしょう。しかし物流業の自動化も「機械ができない部分は人間がサポートする柔軟な自動化」であれば低コストで導入できる機器もあるはずです。物流関係者の方々はそういった視点を持ちながら、自動化・省人化を実現するAIソリューションにフォーカスしてみるのはいかがでしょうか。


より詳細にご説明したお役立ち資料を下記よりダウンロードしていただけます。
物流業界の省人化に向けたAIソリューション

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