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北米最大マテハン・サプライチェーンショーProMAT2019!

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シニア・コンサルタント

井上 文彦

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2019年4月8日~11日の4日間、アメリカ・シカゴで開催された「プロマット2019」に参加してきました。「プロマット」は北米最大のマテハン機器およびサプライチェーン関連の展示会で、アトランタで開催される「モデックス」と交互に隔年で行われています。当社は2016年より毎年参加しており、今回で4回目になります。RFIDやロボットといった自動化の展示会である「オートメート2019」も同時開催で、物流だけでなく自動化技術の最新情報を把握するには最適の非常に有意義なイベントでした。その中から興味深い技術をいくつかレポートします。

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写真1:会場入り口の様子

無人フォークリフトが盛況

ドイツで開催される「ロジマット」や「セマット」、北米での「モデックス」、「プロマット」では毎回多数のフォークリフト(有人型)が出展されております。しかし今回の「プロマット」では「無人の」フォークリフトがかなり多く登場し、注目を浴びていました。昨年・一昨年はAGVの新型機種ばかりだった記憶があります(もちろん今年2019年もAGVはたくさん出展されていましたが)。この変化は、搬送だけのAGVだけではなかなか効率化が進まない表れなのかもしれません。

しかしこれらの無人フォークリフトは、搬送速度で通常のフォークリフトには全く及びません。人が操作に介在していないため安全面を考慮して低速での走行に限定しているわけです。ただし、展示をみていくと開発している各メーカーではフォークリフトの搬送など全く考えていないのがよくわかりました。それは、フォークリフトは荷役機器だからです。搬送はハンドリフトでもAGVでもできますが、パレット単位の垂直方向のハンドリングはフォークリフトにしかできないのです。まあ当たり前なのですが…。つまり「搬送、荷役といった各々の役割を明確化して、それぞれに合う機器を開発する」といった思想が根底にあることを痛感しました。多能工的な機械だったら、使う方は便利でしょうが、本来の機能を充分に発揮させるにはムダが発生してしまうのかもしれません。これからは日本市場でも無人フォークリフトが注目されると思いますし、筆者が導入支援する際にも機器の候補にしていくと思います。

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写真2: 無人フォークリフト

積載・積み下ろし機器

次に紹介するのが、欧州の展示会などを中心に発表されている積載・積み下ろし機器です。これまで機器開発を行っている会社は大手メーカーではなくベンチャー企業でした。加えて、パレット化が浸透している北米市場では、これらの機器の需要はそれほど大きくはないと考えられてきました。しかし、今年のプロマットでは、ハネウェル社やシーメンス社といった大手企業までもが、新製品を紹介していたのです。「アメリカ国内などは、パレット化が進んでいてこんなマシンは必要ないのではないか?」とハネウェル社の営業マンに直接聞いてみると、すぐさま「全くそんなことはない」との回答で驚きました。アジア発、北米着の海上コンテナで、中身の貨物がEコマース系商材の場合、バラ積み&コンテナの天井いっぱいまで積載されていることが多々あるそうです。それをデバンニングする物流センターでは、日本と同じように人力で降ろしているというのです。

そういったニーズに答えるために開発を進めてきているようです。方法としては、同時に複数のケースを吸着し、マシン下方のコンベアに流し込むといった構造になっており、かなり大掛かりな装置であることが否めません。この点はオランダのメーカーのコパル社のマシンとよく似ています。

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写真3:ハネウェル社とシーメンス社の積み下ろし機器

また、シーメンス社も同様にEコマース業界をターゲットとして、「RUBUS」という積み下ろし機器を紹介していました。このマシンでは、貨物の最下面にシートを差し込み、シートを引き抜くことで、わざと荷崩れを起こし、崩れた貨物を付属のベルトコンベア内に引き込んでいくといった構造になっています。一見してとてもスマートには見えないオペレーションです。荷物の取り扱いに必要以上に慎重な日本では採用しにくいのではと感じました。しかし「貨物事故のクレームはこれまで1度もない」(UPSが一部のセンターですでに採用しているとのこと)と言っており、自信満々に製品の紹介をしていました。やはり何度見ても落下衝撃の影響を受けない荷物しか扱えないと思われますし、まだ改良の余地ありといった感じです。でもよく考えてみたら壊れ物じゃなければ同じような荷扱いを日本でもしていますよね。

日本企業の存在感

トヨタL&Fは、グループ企業であるレイモンドの製品も含め無人フォークの展示を会場の一等地で展開していました。また買収したアメリカのバスティアン・ソリューションズやオランダのバンダーランデなども組み合わせ、総合マテハン企業としての存在感を充分に発揮していました。またオートメートをみるとロボット関連の分野では、日本企業がロボットを動かすソフトウェアの開発も積極的に行ってきており、これまで培ったロボット技術と併せて自動化の波にのって世界へ展開しようという意欲が垣間見られていました。

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写真4:日本企業の出展ブース

ピッキングはどうか?

一方ピッキングマシンは、これまでのピッキングロボットのスピード向上、精度向上といったものが多く、斬新な新しい技術の紹介といったものはあまり出展されていませんでした。物流分野で自動化されるのが最後になるといわれているピッキングですが、ある一定の形状の荷扱い、一定条件下でのハンドリングなどかなりの制約が必要とされることはこれまでと変わりません(でもスピードや認識精度は確実に向上していると思います)。

最後に

労働力不足により、自動化が期待されている物流業界の中では、多種多様な機器を効率的にコントロールする「システム」を構築できる企業が最後には勝ち残るのではないかとの印象を受けました。サプライチェーンのスーパーリーン化が叫ばれる中で(倉庫内の各々のオペレーションもサプライチェーンの1つ1つとして)、どのような機器群を制御し、情報として何を取りこむか、最終的なゴールはどこにおくかなど明確することは必要不可欠です。ここでみた技術はそれらに必要なツールだと考えています。

前述したように各機器には役割を明確化させ、最大の能力を発揮させようとする考えは必要ですが、ロジスティクスは1つのオペレーションで完結するわけではありません。日本国内の物流では、各機器が能力を最大限発揮し、それらを組み合わせた全体フローをスムースに流すにはどうすればよいかといった解を求めることが今後の大きなテーマです。人がやっている作業を単に機械に置き換えるだけといった考えは、非効率さを助長させる危険もはらんでいます。北米ではすでにいくつかのインテグレータ企業、システム開発企業がその対策に積極的に取り組んでいます。そのキーとなるのはWES(Warehouse Execution System)です。このような考え方に触れてみて、将来に向けて、自動化だけで満足していては世界で勝っていけないことを実感したイベントでした。

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