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スピード経営を支える意思決定型サプライチェーン・ロジスティクス

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シニア・コンサルタント
(マネージング・コンサルタント)

磯村 誠二

日通総研ニュースレター ろじたす 第27回ー③(2017年7月18日号)

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【Logistics Reform】 スピード経営を支える意思決定型サプライチェーン・ロジスティクス

前回は、サプライチェーンやロジスティクスを支援する機能(業務の可視化機能、高い充足度を持つ予測や計画などのプランニング機能)を最前線の現場に取り入れることで、ある程度の課題を業務の入口で解決できる可能性について述べました。今回は、プランニング機能からの情報を現場のオペレーション実行部門に落とし込むことで、企業経営にどのように影響してくるのかについてお話します。

需要の変化に伴い、効率良く市場へ製品を送り込む仕組みは、企業(主に製造業)にとって最優先事項です。変化の激しい多様化された市場では、調達・生産・物流を戦略的に統合管理する仕組みが、継続した利益を確保するために必須となります。また、顧客との約束を遵守するために、最も効率良く製品を納品するなどの価値を提供する手段と、満足度を維持・向上させる施策も視野に入れなければなりません。企業のサプライチェーン・ロジスティクスは、「低コストを前提とした高サービスと高品質を追求し、経営を取り巻く様々な環境変化に対する意思決定の迅速化・キャッシュフローの最大化を実現すること」であると考えられます。しかし、残念ながら多くの企業は、コスト削減が優先される中、スピーディーなサービスを提供できていないばかりか、キャッシュフローの最大化も十分に図れていないように思われます。

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図1:サプライチェーン・ロジスティクスのコストとキャッシュフローの関係
(売上高1,000億円企業の事例)

出所:SCMにおける発生コストとキャッシュローの関係比率調査より日通総研作成

スピード経営を実現させるには、市場で勝ち残る競争力を備えることが重要です。そのためには、「キャッシュを創出するサプライチェーンモデル」と「低コスト運用を前提としたロジスティクストレンド」、「効率的な物流機能」が不可欠となり、これらが組み合わされることによって、一気通貫のサプライチェーン・ロジスティクスが確立されます。あとは、現行基盤(規定+機能+人員+インフラ)を活用して、顧客の要求に応えるための機動力を身につけること、そして現場の運用を統括・統制する“意思決定型”の組織を編成することで完成されます。具体的に言いますと、予定・指示情報をもとに人員を配置し、輸配送車両の割当てを行い、ストックしている在庫の引当て可否を迅速に判断することが求められるなか、指定された期日を守って納品先に製品を着実に届けるには、取引先の要求指示・作業内容・製品取扱いの特性・指定納期を事前に把握することが必要です。仮に、オーダーの受注・作業内容確認・人員の手配と車両の割当て・在庫引当てが可能かどうかの判断が、全て出荷当日の対応となれば、その全てが現場の判断に委ねられることになってしまいます。その様な状況では、最適な手順のもとで、効率やコストを考慮した運用を瞬時に決定し遂行することは、大変難しいと想像がつきます。後々発生する品質上の問題を防ぐためには、高精度の予測情報から業務計画を立て、人員の配置・保有するべき製品在庫・利活用するツール(主にIT)とアセット(主に車両)の準備が万全でなければなりません。その準備については、現場のオペレーターが主体となり段取りを行うのが一般的ですが、それ以前の計画に伴う“高効率と最適コストでの対応・運用コントロール”は、現場を統括・統制する上位部門が担うべきと考えます。スピーディーでフレキシブルな運用を実現するには、計画系業務から実行系業務までを一元管理し、事前情報から業務をハンドルできる“意思決定型”の組織を設置して、統括・統制を担う部門側と実行する現場側との意思の疎通が十分に図れた、一体的な運用を実施することが重要となるのではないでしょうか。

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図2:計画系から実行系までの業務を担う、統括・統制部門の位置づけ

出所:日通総研考察・作成

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