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ますます自動化・ロボット化が進むマテハン機器

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シニア・コンサルタント

井上 文彦

日通総研ニュースレター ろじたす 第25回ー②(2017年5月22日号 )

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【Special article】ますます自動化・ロボット化が進むマテハン機器

今回、LogiMATとProMATで見てきた搬送ロボットやピッキングロボットの現況について、少しご紹介したいと思います。
今までは、マテハン機器の競争力といえば、処理速度と多機能性がメーンだったのですが、近年ロボットが注目されるようになってから、「どの部分を、どのようにロボットに行わせるか」といった点において、各社それぞれ差別化を図ってきています。両展示会とも、物流関連機器の展示会としては欧州・北米それぞれ最大規模の展示会ということもあり、様々なロボットが展示・紹介されていました。
まず、最初に着目したのがSwisslogのブースで見た「ACPaQ」です。これは一見、普通のオートパレタイザなのですが、複数の異なる荷姿の商材を1つのパレットに積み上げるという点に特徴があります。つまり、単純なパレタイザというわけではなく、ケース単位で搬出される自動倉庫との連携、出荷先のレイアウト情報との連携などができ、最適なパレット貨物を作り上げるのです。この点から、これまでにない、より汎用性の高いパレタイザといえます。グループ企業であるKUKAのロボットがフル活用されています。

SwisslogのACPaQ

写真1:SwisslogのACPaQ

また「ACPaQ」は、複数の爪(筆者が見たものでは4本ありました)で商材をすくい取り、上部から抑えて固定し、パレット上に移動、その後爪を抜き取ることで商材をパレット上に定置する(わずかですが、落とす感じあり)といった動作を行います。コンベアラインには方向変換機能、コンベアライン末端部分には爪を差し込み、持ちあ上げる隙間を有したラインが必須となっています。 この製品からも、ロットが小さくかつ複数の商品が混在するeコマース事業者などの、リテーラーの出荷形態に対応しようとする意識がうかがえます。リテーラーの物流からロボット化・自動化が進んでいく流れは、今後も続いていくと考えられます。

同様のシステムを、マテハンメーカー大手のDematicも提供しています。これまでも、異なる商材が集まったパレット貨物に関して、デパレタイズを自動で行うシステムはありました。しかし、異なる商材を集めてパレタイズするロボットはあまり存在しなかったので、この2社の仕組みはこれから非常に注目されるようになると思います。

このように、物流センターでのハンドリングを代替するロボットが、競うように紹介されていました。どのロボットもアーム部分は大手の産業用ロボットメーカーのものを活用していますが、コントローラー(ロボットの頭脳にあたる部分)については、どのようなAIを利用するか、ティーチレスでどのように能力を向上させるのかなど、様々なノウハウを知見として蓄積している段階といえるでしょう。多くのマテハンメーカーでは、「マテハン機器においても今後さらにロボットとの連携が必須になってくる」と考えています。 しかし、ピッキング(モノを認識し、適切につかみとって、決められた場所に定置する動作)に関しては、センターの一部分で導入されている例はあるようですが、本格的に導入し、センター全体のピッキングに活用している例は、まだないようです。

写真2:KNAPP社ピッキングロボット 

写真3:Vanderlande社ピッキングロボット

一方、自動搬送ロボットについては、比較的導入が進んでいます。この自動搬送ロボットは、何を搬送するかにより、大きく2つのパターンに分けられると考えられます。 1つは、AGVのような台車が棚を持ち上げて運んでくるタイプ(棚搬送型)。もう1つは、棚ではなく、出荷ケースを運び、ピッキング担当者が各エリアを回りながら商品を集めてくるタイプ(ケース搬送型)です。ただし、ケース搬送型のロボットでは、物流センター内の同じエリアを人間とロボットが混在して作業を行うため、これまで以上に安全面の対策も欠かせないとのことです。(一方、棚搬送型では、人間が作業するエリアとロボットが動き回るエリアを完全に分離するので、安全面での配慮はあまり必要ありません。 しかし、1つトラブルが発生すると全システムを止めなければならないのが難点でもあります。)加えてケース搬送型ロボットでは、ほぼすべてのロボットにおいて、レーダーでの障害物感知、自分の位置把握が行われており、施設側での設備は必要としないのが特徴となっています。

写真4:Locus Robotics社のLocusBOT

写真5:Six reverse社のCHUCK

2つの展示会を見て感じたのは、多くのピッキングロボットが展示されてはいるものの、ピッキングオペレーション(特に商材を確認して拾うといった動作)は、認識技術、把持精度などといった点で、人間と同レベルの品質や生産性を確保するのはまだ非常に難しいということでした。そのため、各社ともピッキング自体は人間が行い、商材の搬送をロボットに行わせるといった部分に注目して製品の開発を進めているようです。将来的に、ピッキング能力が向上すれば、「Fetch(自走型倉庫用ロボット)」のように搬送+ピッキングを行うロボットも増えてくるかもしれません。 今後は我々もピッキング&搬送のロボットがどのように進化するのか着目していきたいと思います。

自動搬送ロボットのタイプと代表例

表:自動搬送ロボットのタイプと代表例

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