配車計画ソフトの重要性と他の物流業務への活用
日通総研ニュースレター ろじたす 第7回ー①(2015年11月24日号)
【Logistics Report】配車計画ソフトの重要性と他の物流業務への活用
トラック輸送の効率化は、いかに少ない車両でより多くの荷物を運ぶかがポイントとなります。どれだけ効率が良い配車組み・ルート設定が行えるかがカギとなるため、配車計画の作成が運行効率の向上、強いては輸送費用の削減のために非常に重要な業務となります。
配車計画を人が考えて作成している現場を見ると、トラック1台が4~5件の届け先に配送する単純なケースでも、配車担当者1人では30台分の計画作成が限界となります。
ましてや運転者労働時間の平準化や車両別コスト管理まで考慮すると、計画可能な配車台数は10台程度となってしまいます。しかもそれが本当に最適な配車計画であるかどうかは、誰にも判断できません。
複雑な配送条件の下で膨大なオーダーの配車を組む、コストを基準に競争力のある配車を組む等、多様な業務ニーズに応えながら正確・迅速・最適な配車を組むことは、もはや人間が頭で考える計画作成では困難であり、配車計画ソフトなくして実現できないのが実情です。
配車計画ソフトの仕組みは、図に示すように、出荷情報、届先情報、車両情報を登録し、道路地図情報を使用して、最適化エンジンが自動的に配車計画を作成し、配送ルート図や配車表を出力するものです。
この最適化エンジンは、製造工場の作業工程を作成するスケジューリング・アルゴリズムと同じもので、実績や成果が十分出ているものが使用されています。
ソフトの使用例を示すと、例えば届先数が100ヶ所の場合では約5,000通りの距離と時間を算出し、その後に車両積載重量/容積制限内でコスト(距離と時間)が最少となるような配送先の組合せを探し出し、車両別のルートを組み上げます。
この何千・何万通りにもなる複雑な計算を短時間で処理することは、基礎となる道路地図データベースと最適化エンジンがあってこそ実現できます。人間の頭脳をはるかに超えており、ソフトの有用性が分かると思います。
現在、この配車ソフトのアルゴリズムは、倉庫のピッキング作業計画にも転用されています。
倉庫の通路を道路と見立て、棚から商品をピッキングする人が、どの順路で歩いたら最も歩行距離(時間)が短くなるかを算出します。
また、棚の商品を入れ替えた場合、歩行距離(時間)がどの程度短縮できるかもシミュレーションできます。
このように配車計画で培ったノウハウ・技術は他の物流現場でも活用が進んでいます。
これからの時代、物流業務のICT活用はますます進展していくことでしょう。
それは新しい技術の開発だけではなく、既存の技術やノウハウを他の物流業務へ転用するという方法でも可能です。今回紹介した配車計画ソフトのような、身近な技術やノウハウの転用こそが、物流技術導入による物流効率化への早道と考えてはいかがでしょうか。
図:配車計画ソフトの仕組み
http://www.jta.or.jp/rodotaisaku/kyogikai/pdf/Shipper%20recommendation%20system%20Leaflet.pdf
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