物流ロボットの本格稼働:Geek+が日本に参入
日通総研ニュースレター ろじたす 第30回ー①(2017年10月23日号)
【News Pickup】物流ロボットの本格稼働:Geek+が日本に参入
ロボットを物流現場で実際に稼働し、“使いこなしている”ケースはあまりありません。そのような状況のなか、中国発のロボット会社「Geek+(ギークプラス)」の現場を視察する機会を得ましたので報告いたします。
ギークプラスは中国・北京に本拠地を置く、物流用ロボットの開発会社です。同社のロボットはフルフィルメントを効率化する自動搬送機ですが、写真1、 2の通りピックする人の所まで棚ごと持ってくるモデルです。中国では同国最大のIT会社アリババグループが運営するECモール「天猫(Tmall)」等のフルフィルメントセンター(FC)にも導入され、既に稼働実績が多数あります。8月に日本法人が設立され、(株)アッカ・インターナショナルが行うアパレルのFCに一部採用されました。現在30台が稼働中で、近々100台まで増やす予定とのこと。また、同社は今年だけで7400万ドル(約81億円)を米国のベンチャーキャピタルから調達しており、世界的にも注目されているベンチャー企業の一つと言えます。
写真1:ギークプラスのロボット
写真提供:株式会社ギークプラス
写真2:稼働中の様子
写真提供:株式会社ギークプラス
さて、実際に現物を見た感想ですが「いや~、素晴らしい」の一言。ロボットのハードウェア自体は非常にシンプルで余計な物が付いておらず、低コストで作られています。肝になるのは、やはり制御機能を担うソフトウェアの方で、人工知能(AI)を活用し棚を人の所まで持ってくる順番とスピードなどを最適化することにより、オペレーション全体の生産性向上を図っています。ポイントは、ただロボット個々の動きを速くするだけでは全体の生産性向上につながらないということ。ピッキングを行うのは人間であり、そのスキルには当然差があります。ギークプラスのAIはピッカーのスキル(ピックの速さなど)も考慮して、棚を持ってくる順番などを変えているそうです。確かにロボットがもの凄いスピードで棚をいくつも持ってきても、ピックできなければ待ちの列ができるだけ。もし筆者がピッカーだったら心理的なプレッシャーも感じてしまいます…。
導入に要する期間は規模にもよりますが3~5ヶ月間、拡張性も高く、小さく始めて物量が増えたら都度拡張も可能。投下資本回収期間(1/ROI)は2~3年とのことでした。(しつこいですがあくまで規模によるので、ご興味ある方は同社まで直接問い合わせ願います。)
生産性の数値としては、現状は手作業と比べて3~5倍だそうです。導入には投下資本回収期間との兼ね合いがカギとなりますが、そもそも近い将来「人」が圧倒的に足りなくなるんですよね?早く準備しておいた方がいいと思うんですが…。
ここ数年、多くの展示会で様々な物流ロボットを見てきましたが、ついに本格稼働が始まった感じです。ギークプラスの競合や追随型の搬送ロボットなども多数出ており、今後切磋琢磨が見られそうです。当社も引き続き取材して参ります。
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