【物流効率化】業務効率化施策の効果計測方法とその検証方法
改善活動やシステム、マテハン、自動化技術導入など、業務効率化の施策は様々なものがありますが、その効果計測方法について今回は説明したいと思います。
効果について
まず、効果ですが、改善活動で言えば安全、品質、コスト、納期、モラルといった軸で効果があります。これらの効果は活動で直接的に得られる効果であり、この効果が人時減に繋がり、ゆくゆくは収益に繋がって最終的な帰着効果となります。
このように効果は発生⇒間接⇒帰着といった順に波及していくことになります。そのため、効果計測にあたっては、この発生側で計測するのか?帰着側で計測するのか?といった疑問が出てきます。しかし、最終的には帰着側の収益が上がっているのかどうかということが、企業活動を行う以上は重要な指標になってきますので、帰着側のウォッチが重要です。※ちなみに間接効果は発生と帰着の間を経由しているものですので、計測しなくても構いません。ただし、間接効果でKPIとして押えておき、対策が取れるようにしたいという場合を除きます。
帰着効果は目に見えるのに時間がかかるため、まずは対策実施前後に発生側の効果を計測することになります。そして、対策実施後に定期的に発生側の効果とともに帰着側の効果を計測して確認します。
ただし、このとき帰着側の収益が向上していないからといって、対策は意味がなかったと判断してはいけません。なぜなら、発生効果から帰着効果へは、物量の変動、人員の変動などを介して発現するものだからです。すなわち帰着効果は物量の変動、アイテム変動、緊急対応等のイレギュラー作業、顧客要望など様々なものが影響して大きく変わることがあるのです。発生効果が収益に結び付かなかった外部要因をきちんと検討して、収益に結びつかない外部要因を抽出し、その外部要因を除けば、発生側の対策は収益に結びつくのです。すなわち、そもそも物量変動が大きくて、改善活動の効果が出にくいのであれば、物量変動に合わせた人員配置ができないか検討して、できるだけ物量変化が影響しにくい環境にするなど工夫していけば、改善効果が収益に繋がっていきます。
発生効果
改善活動を例に考えていくと、まず発生側として活動によるミス減、事故減、生産性向上、モラル向上が発生効果となります。これらの発生効果の計測方法としては、ミス減⇒手戻り時間減、事故減⇒損失額減、生産性向上⇒コスト減というようにできるだけ金額換算していくことで、対策導入の判断や説明がしやすく、コスト意識が高まります。
一方、金額換算できない指標もあります。例えば、モラル向上は、ゆくゆくは離職率低下といった効果をもたらし、ノウハウ蓄積による効果が大きいものですが、金額効果が不明確です。あまり着目されにくいところではありますが、このような計測できないような指標については、代替効果、支払意志額といった効果計測手法があります。
代替効果とは、直接モラル向上を価値換算するのは難しいので、人が辞めた後の新人の教育費用を効果として捉えるという効果計測手法です。また支払意志額とは、モラル向上による品質、生産性が安定することに対する支払いたい金額を効果として換算するという効果計測手法になります。
このような発生効果が継続された結果、残業減、経費減などの細目の効果を介して収益といった帰着効果に繋がります。
現地現物による発生効果の確認
次に効果の確認です。机上で金額換算することも大事なのですが、現地現物で効果となる動作、作業が実際に行われているか確認することが重要です。なぜなら、逆に副作用として、マイナスの効果、事故に繋がりやすい動作や間違った作業が行われている可能性があるからです。
効果計測と検証
作業の効果と計測方法としては以下のものが例としてあります。
効果指標
- 作業時間
- 動作数
- ミス件数
- 品質や安全に繋がる動作
- 納期遅延件数
このような指標の記録作業は非常に手間であり、管理者自身が行っていくのは大変な部分があるので、アンケート用紙を作って、記入してもらう、機器を使って自動で計測するといった省力化の工夫をすることがコツです。
アンケートや機器を使って計測する際には、何を計測したいのか、を明らかにして計測するとより効率的です。効果指標を表す適した指標を選んで、その指標の計測精度を保つ計測方法は何か考えて、計測するとムダなく計測できます。
このような現地現物の確認や効果計測は改善前後と改善後定期的に行っていき、なぜこのような効果となったのかを理解して、次なる打ち手に結びつけることで、実態に合った効果の高い対策に繋げることができるようになります。
帰着効果
次に帰着効果としては、最終的には収益が指標としてあります。弊社で改善活動についてヒアリングした際には、坪あたりの収益や差益といった指標でチェックしているところが多いようです。
チェック方法はまずは全体で把握して、そこから階層的にチェックしていくことになります。全体が悪ければ、その下の階層のどの部分が影響しているのか掘り下げて確認していくことになります。そのため、あらかじめ、階層的に指標を構成しておくとより何が影響して収益が変動しているのか判断しやすくなります。また、帰着効果の検証については、週次、月次といった無理のないタイミングでチェックしていきます。チェックしていけば、変化点が把握でき、変化を見つけてすぐに対策をできるといった利点もあります。
まとめ
効果の種類として、発生⇒間接⇒帰着といった種類がありますが、計測対象は発生効果と帰着効果で、その効果計測、検証ステップは以下となります。
①発生効果があるか現地現物で確認する
②発生効果を計測して効果検証をする
③帰着効果を計測して発生効果の影響があるか確認する
④発生効果と帰着効果が繋がっていなければ、妨げている外部要因がないか確認する
⑤外部要因があれば、外部要因の影響をできるだけ排除できるような対策を検討する
⑥次なる改善策、対策を検討し、費用対効果のある対策を実施する
留意すべきなのは、絶えず現場は変化しており、このステップの間で、現地現物で対策前後にどうなっているか目でみて確認することが必要だという点です。また、発生側からどのような経路をたどって収益が出ているのか構造を理解すること必要です。なぜなら構造を理解するか、しないかで、取り得る対策が大きく異なるからです。
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