貨物自動車の転倒要因と防止策
日通総研ニュースレター ろじたす 第8回ー①(2015年12月21日号)
【Logistics Report】貨物自動車の転倒要因と防止策
少し前の話になりますが、平成24年に北海道の江差線で、鉄道貨物列車が脱線事故を起こしました。
原因は、「コンテナ内の荷物が左右に偏って積載(偏積)されていたこと」による、と平成26年7月に国土交通省の運輸安全委員会から報告されました。
本報告は鉄道輸送に関する報告ですが、現在の鉄道貨物輸送の主流は「5tコンテナ」であり、コンテナの集配はトラックによって行われているため、偏積が集配トラックの走行に及ぼす影響が注目されるようになりました。
荷物の積み方による安全運行への影響については、これまでにも多くの指摘がありました。
カーブにおける車両転倒の最も大きな要因は進入速度ですが、その次には、荷物の積み方(偏積)があげられます。
以前、問題なく通行したことのあるカーブであっても、積み荷の状態によっては、同じ速度でも転倒してしまうことがあるのです。
資料:(公社)全国通運連盟
集配車両の転倒防止に向けた偏積防止マニュアル
図表1は、荷物の偏積率が10%のときに鉄道コンテナ集配車両が転倒する危険性について、カーブの回転半径と速度との関係で試算した結果を整理したものです(条件付き)。
当然のことながら、カーブの回転半径が小さくなると転倒の危険性が高まる限界速度は遅くなります。単車トラックに比べてトレーラの方が低い速度でも転倒の危険性が高まるのは、車両の構造の違いに原因があると考えられます。
3個積みトレーラや国際海上コンテナ(輸入)を積載しての運行は、特に慎重に行う必要があると言えるでしょう。
「積込み者」と「配送(荷卸し)者」が異なることが多い国際海上コンテナや鉄道コンテナ輸送では、ドライバーが積み付け状態を確認できないため、コンテナを開封しない状態で、ある程度の危険性を検知する方法を検討せざるを得ません。
輪重測定装置などがあればよいのですが、荷主の庭先を含め、すべての積み込み場でこれを利用できるようにするのは、現実的ではありません。現場では、もっと簡便な方法が求められています。
資料:(公社)全国通運連盟
集配車両の転倒防止に向けた偏積防止マニュアル
:国土交通省「国際海上コンテナの陸上運送に係る安全対策会議」
国際海上コンテナの陸上における安全輸送マニュアル-トラック運転者用リーフレット-
出典:(公社)全国通運連盟
:集配車両の転倒防止に向けた偏積防止マニュアル
「国際海上コンテナの陸上運送にかかる安全対策会議;国土交通省」と「公益社団法人全国通運連盟」では、このような問題に対応するために、実証実験などを行って作成した車両の安全運行に向けたマニュアルの中で、図表2に示すような指針を示しています。
両者とも車両の荷台の左右の車高差を測ることで(図表3参照)、偏積状態をある程度把握することができます。非常に簡便な方法なので、これを実践し、車両の転倒事故の防止に努めてください。
なお、転倒事故に限らず交通事故を防止するためには、周辺環境に合わせた適正な速度で走行することがなによりも重要であることをお忘れなく!!
http://www.jta.or.jp/rodotaisaku/kyogikai/pdf/Shipper%20recommendation%20system%20Leaflet.pdf
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