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中国のECビジネスと物流の現状

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日通総研ニュースレター ろじたす 第33回ー①(2018年1月22日号 )

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【Logistics Report】中国のECビジネスと物流の現状

ネット通販の取引額は世界総額の40%超

10年前、中国のネット通販の取引額が世界総額に占める割合は1%以下に過ぎなかったが、現在では40%を超え、先進5か国(米国、英国、フランス、ドイツ、日本)の合計をも上回る状況となっている。2016年における中国の個人消費関連のモバイル決済取引額は約8000億ドルに達し、米国の11倍の規模となっている。

貿易の3割弱を占める越境EC

今年の中国の「独身の日」、11月11日におけるネット販売額は、アリババ社1社だけで1600億元(約2兆7千億円)に上り、過去最高を記録した。
中国では現在、海外との越境EC(国境を越えるEコマース)の貿易規模が、貨物貿易全体の増加ペースを大幅に上回る状況が続いており、中国全体の貿易量の3割弱を占めるようになった。2020年には、その市場規模は12兆元(約185兆6187億円)に達すると予想され、ECビジネスが中国のグローバルビジネスの重要なツールとなっている。

中国宅配企業の国際化

越境ECの発展は、中国宅配企業の国際化を後押ししている。数年前まで中国の国際宅配市場は、FedEx、UPS、DHL、TNTの外資系4社が75%のシェアを占める寡占市場となっていた。しかし現在では、中国のSF(順風速達)社等の民営物流企業が、国境を越え日本を含む世界十数か国に進出し、進出先国の企業とも協業して、世界規模の宅配サービスを展開するようになっている。

EC物流センターの需要増

急増する中国向けの「越境EC」貨物に関連して、輸出する側の海外各国における一時保管、物流作業の需要が生じている。従来の一般貿易とは異なり、越境ECのニーズに対応した仕分け・梱包や中国国内での通関・配送体制に合わせた作業が必要となる。それらの需要を満たすため、海外の相手国においても多くの新たなビジネスと雇用増の機会を創出している。

ロボットによる仕分けと新幹線による配達がEC物流をさらに効率化

中国では多くの民営宅配物流センターが、ロボット型の仕分けセンターを導入している(写真1)が、中国郵政(China Post)においても、2017年の11月にスマート仕分けプロジェクトをスタートさせた。

従来6時間かかっていた業務が2時間に短縮、作業は大幅に効率化された。また、独身の日の11月11日のように一時的に急増する需要に対応するため、京滬高速鉄道(北京~上海間)の「復興号」を利用した高速鉄道(日本の「新幹線のぞみ号」に相当)による超高速宅配便新サービス「極速達」が打ち出され、北京~上海間で注文から10時間での配達が実現することになった。中国の民間企業と政府が、成長するECビジネスに高度なスピード感を持って対応していることを強く印象づける出来事であった。

創造的な発想を自由に展開できるビジネス環境が求められる

ECビジネスにおいては、これまでの物流とは異なる、商流、物流、情報流へのニーズが生まれてくる。取引単位が個人ベースとなり、取引回数が増大、配送距離は長くなるなか、輸送時間の短縮、一層の物流コストの低減と効率化など様々な課題に直面する。この分野では創造的な発想を自由に展開できるようなビジネス環境が必要であり、国・政府がこうした環境を整備できるかが問われている。これは中国のみならず、世界のどの国にとっても大きな課題であろう。

写真1:中国宅配物流センターの仕分けロボット

写真1:中国宅配物流センターの仕分けロボット

・愛称は「小黄人(シャオファンレン)」
・1台で貨物400個以上/時間の荷物を仕分け、人間の4倍の仕事量に相当するという。
・5分間の充電で約4時間稼働。自動で充電、充電器が使用中の場合、並んで順番を待ち、完了すると、自動で受け渡し場所へ戻って、新たな仕事をこなしていく。とても愛らしい!

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