【物流技術】最先端物流技術調査放浪記
先日、社内教育を兼ねて米国のアトランタで開催されたSCMの最先端技術に関する展示会「MODEX」に行ってまいりました。会場規模は2ホールと、欧州ほどではありませんが、それでも日本の展示会より遥かに大きいです。米国では人件費高騰やEコマース市場の拡大により、省人化の検討が急務となっています。その影響もあり出展の多くは日本と同じく「自動化」に関する製品でした。AutoStore(Swisslog社製)やEVE(Geek+社製)など、日本でも導入が進んでいる自動搬送ロボットも多数ありましたが、その中でも個人的に気になった製品を本ブログでご紹介致します。
積み付け・積み下ろしロボット「ROBOTIC TRUCK TRAILER」
米国のBastian Solutions LLC社が手がけるバンニング・デバンニングロボットです。日本でもパレタイズされていないアイテムを手積みで作業しているケースがありますが、このロボットで労働力の代替だけでなく生産性の大幅な向上の可能性がある製品と感じました。3秒間に1個のスピードで貨物の取り扱いが可能で、梱包箱の大きさが統一されていなくても問題なく処理できます。技術的には、カメラで箱の高さ(貨物の境界)を識別し、コンベアと吸盤で貨物を搬送します。運用設計から実際の導入までは3ヶ月程度で可能とのことです。
<貨物の積み付け>
<貨物の積み下ろし>
デモ動画でもかなり速く積み付け・積み下ろしが出来ていることがお分かりになるかと思います。当企業以外にも、オランダに本社を構えるCopal社が同様の製品をリリースしていますが、機能面・コスト面でBastian社の製品に優位性があります。
VECNA ROBOTICS社製 自動搬送ロボット
米国のマテハンメーカーで1998年にMIT(Massachusetts Institute of Technology, マサチューセッツ工科大学)が立ち上げたベンチャー企業です。日本では未だ売られていませんが、様々な製品ラインナップがあります。特徴的な点は「SLAM技術」「重量物の取扱い」の2点です。
SLAMとは“Simultaneous Localization and Mapping”の略で自己位置推定と環境地図作成を同時に行う技術です。従来のAGVとは異なり、黒い線なども不要で自律的に搬送します。通常はレーザーや二次元バーコードで位置を特定しますが、現在の流行はセンサデータから自己位置を推定し動きを制御します。
<VECNA ROBOTICS>
重量物の取扱いが豊富に行えることも当企業の強みと言えます。無人フォークにおいてもSLAM技術を搭載しており、運用設計がより容易に行えるようになります。またTUGGERは最大4,500kgまで搬送することができます。従来、棚や小物品の搬送ロボットが話題となっていましたが、小物~重量物まで柔軟に扱える点は他社競合製品との差別化になっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今後物流業界における自動化は、ご紹介した搬送やピッキングなどのロボットやRPAなど、あらゆる方面で検討が加速的に進むことが予想されます。一方で、どの企業でも十分な威力を発揮するものではないため、いかに自社の倉庫運営に自動化を適用させられるかといった「活用方法」がポイントになります。そもそも何のために自動化するのか、自社の倉庫に向いているのか、どこまでを自動化とすべきか、自動搬送ロボットを導入する場合にどれが適切であるか(棚搬送型?自動倉庫型?)などです。特に日本では、倉庫移転や物量増減に伴うレイアウト変更などによる仕様変更・メンテナンスはよくある話です。その場合の対応工数などのプランも検討しておく必要があります。
今回実際に海外展示会へ参加し、実用化の技術は海外が進んでいることを実感致しました。この機会にぜひ海外の技術動向に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。
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