Hannover Messe & CeMAT国際展示会②
日通総研ニュースレター ろじたす 第38回ー②(2018年6月18日号)
【Special Article】Hannover Messe & CeMAT国際展示会②
Hannover Messeとは最新のオートメーション技術、ロボット、IT・ソフトウェアなど現在のインダストリー4.0の最先端技術やトレンドを体験できる、世界最大規模の国際産業技術見本市です。また、CeMATはマテリアルハンドリングとロジスティクスの分野における世界最大の国際専門展示会です。今回初めて2つの展示会がドイツのハノーバーで同時開催となり、出展者は産業サプライチェーンの最適化に関する最新情報をより迅速に入手できるようになり、来場者はインダストリー4.0とロジスティクス4.0に関連する最新の技術およびソリューションに同時に触れることができます。
展示会入口
安全に特化した商品
展示会では実際の商品に触れ、最先端の商品がロジスティクスとどう結びつけて製品化されているのか体験することができました。今回は物理的な安全面に対する展示品を紹介します。
Toyotaで開催されたカンファレンスの情報によると世界で15秒に1人が労働により死亡している計算になるとのことです。我々が業務を設計する際にも、安全は重要検討項目のなかでも常に最上位に位置しています。
A-SAFE社
倉庫内での歩車分離や、車両と各設備の衝突の防止というニーズがあれば、A-SAFE社の「iFlex Pedestrian Barrier」は一考の価値があります。A-SAFE社はイギリスの会社で、特殊ポリマー製防護柵を開発および生産しています。視認性に優れた黄色の柵が特徴的で、フォルクスワーゲンやBMWなど大手企業にも多数の導入実績があります。この防護柵は、ドイツを本拠地とする自動車部品や電動工具等のメーカーであるボッシュ社にも導入されました。ボッシュ社の倉庫では元々スチール製バリアが設置されていましたが、車両のバリアへの衝突によるコンクリートフロアの損傷が頻発し、多大な修理費が発生していました。スチール製バリアは角が鋭かったため、従業員は安全性の面でも不安を感じていました。
そこでA-SAFE社のバリアを導入したところ、衝突による深刻なフロアへの損傷は無くなり、バリアに関しても特にメンテナンスや修理も必要なく使用できるようになりました。設置が簡単で且つ耐久性に優れているので、安全性を高めた上で、更にコスト削減も可能な製品と言えます。
黄色のプラスチック製防護柵
出所:A-SAFE社HP
ERGOMAT社
ERGOMATはデンマークの会社で、足下に置くマットを始めテープ、家具等の職場環境における安全製品のメーカーです。マットは人間工学に基づいた様々な工夫がされ、疲労防止の構造やこぼれた薬品への耐性、難燃などの機能を持たせたり、LEDライトを埋め込んだりしてあり、生産ライン、小売業の販売カウンター等の現場にマッチした製品を選ぶ事で生産性を高める事ができます。また、サイン入りの製品は倉庫や工場内での危険箇所アラートとして役立てる事もできます。1日に7時間、1年でおよそ1,820時間もこの上で過ごす事を考えると、このようなマットは働く場の安全且つ快適な環境を作る大きな要素と言えます。
安全に工夫を凝らしたマット
最後に、日本と違い展示会を商談の場としてフル活用している点に驚きました。商品展示場よりも商談がメインとなっているブースが多数あり、飲み物を片手に具体的な購入に向けて熱心に話されている様子が見られました。
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