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女性活躍推進のカギは? ~間口グループの成功レポート~

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シニア・コンサルタント

大原 みれい

2016年4月に女性活躍推進法が施行され、2019年6月公布の改正では、実施義務の対象が「常時雇用する労働者が301人以上の企業」から「常時雇用する労働者101人以上の企業」まで拡大されることが定められました(施行は公布後3年以内)。
これまでの物流業界では男性が中心的な役割を担ってきましたが、少子高齢化社会の進展が加速しており、このままでは将来事業継続が困難となる可能性もあります。そこで、345万人といわれる女性の潜在労働力、およびダイバーシティ経営の観点から、女性労働力の活用への期待が高まっています。
本記事では、明治34年(1901年)に大阪港を基盤に港湾運送専業者として創業し、船内荷役業・沿岸荷役業・倉庫業を営んできた間口グループの女性活躍推進に向けた取り組み事例を紹介させていただきます。

女性活躍推進のきっかけ

間口グループにおける女性活躍推進のきっかけは、人手不足対策として、新たな人材を確保することと優秀な人材の流出を防止することでした。従前から、家庭と仕事の両立支援制度はありましたが、十分利用されておらず、特に結婚や出産で辞めてしまう女性社員が多くいました。制度があっても、利用しやすい風土がなければ意味はありません。そこで、両立支援制度の取得推進をはじめとする、女性が活躍できる組織作りを行うことで、社員全員が働きやすい職場環境を作ることを会社全体で推進してきました。

写真1:副所長(真ん中)とベトナム人技能実習生(左と右)

間口陸運(株)では、初の女性副所長が誕生

近畿地区を拠点に、食品の冷蔵・冷凍配送やセンターでの構内作業を行う大阪府の間口陸運(株)では、アルバイトとして入社し正社員になった女性が2019年、初の女性副所長に抜擢されました。女性ならではの家事経験やコミュニケーション能力を活かし、オペレーション業務の円滑な遂行や、若い女性社員からシニア社員までの幅広い社員間のコミュニケーション円滑化に貢献しています。さらに、アルバイトから管理職になったというキャリアパスは、若手社員の憧れであり、良いロールモデル(お手本)となっています。その他、間口グループでは生協個人宅配のピッキング・配送等での活躍事例があります(図表1)。

図表1:間口グループの女性活躍事例

女性活躍に向けた取り組み

両立支援制度としては、産前産後休業、育児休業、育児短時間勤務、子の看護休暇、育児時差出勤制度等のメニューを揃えています(図表2)。これら制度の利用を推進した結果、今では社員の出産ラッシュを迎え、毎年数名ずつ新たに制度を活用しています。また、(株)間口は専用保育園を9ヵ所設置し、送迎者が間口グループで働いていれば、無料で利用できます。保育園の設置は若手社員の評判が良く、定着率が上がりました。待機児童の問題がある地域では、子どもを保育園に入れたいからと入社した社員もいて、地域によっては、保育園の設置が女性の社会復帰の促進に効果があると言えます。
業務上の男女差はありませんが、自動倉庫(冷凍庫)の導入や、特に高齢社員や女性社員用にパワーアシストスーツを設置したことにより、作業が効率化されただけでなく、重量品である冷凍品の荷役による負担が軽減されました。またグループ全体で、女性活躍推進に関連した各種研修を実施し、社員の意識改革も行っています。

図表2:間口グループの女性活躍に向けた取り組み

おわりに

本事例から学べることは、「女性活躍は女性社員のためだけではなく、社員全員が働きやすい職場環境を作るためである」という強いメッセージの下、社員の納得を得ながらグループ全体で推進していることです。また、地域で必要な保育園の設置、海外からの技能実習生の受け入れ等、時代の「変化」に合わせた対応を図っています。社員が変化に慣れているという点は、今後変わりゆく社会や消費者のニーズに柔軟に対応していく能力を身に着ける良い機会となっていると感じました。
特に間口陸運では、20代前半のベトナム人技能実習生からシニア社員まで、老若男女、国籍問わず、多種多様な人材が勤務し、各々の個性や強みを生かして活躍しています。女性が多いこともあって、事務所の雰囲気は明るく、皆活き活きと仕事をこなしていたのがとても印象的でした。全社員を巻き込み、全員の働きやすさを追求していくことも女性活躍推進のカギとなっているのではないでしょうか。

写真2:ドレミ保育園(深江)

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