物流統括責任者(CLO)セミナーを開催して
6月3日に弊社NX総合研究所及び日本通運株式会社の共催で、物流統括責任者(CLO)セミナーを開催いたし、約800名のご参加を賜りました。先ずは、御礼申し上げます。
一方で、当時、通信状況の不具合で、音声が非常に聞き取りづらい状況となり、リモートで参加していただいた皆様には、多大なるご不便、ご迷惑をおかけしたこと、主催者を代表して深くお詫び申し上げます。
当セミナーは、私の開会挨拶でスタートしたのですが、その時が最も通信状況が悪かったようですので、その部分を簡単な説明と、私自身がセミナーから学んだこともお伝えしたいと思います。
先ずは、弊社の簡単な事業紹介(この部分は割愛)から始まり、その後は、今回のセミナーの目的の説明をいたしました。
主な目的は、2つであり、
一つ目は、本年4月26日に成立した「物流効率化法」、「トラック法」の理解を深め、その法律で設置が義務付けられた「物流統括責任者、所謂CLO」の責任や役割と学ぶ場の提供、
この目的を達成するために、これらの法案作りを進められた、国土交通省 物流・自動車局長の鶴田様、経済産業省 商務・サービスグループ、消費・流通政策課長兼物流企画室長の中野様から、生の声を聞かせていただくこととしました。
裏話ですが、今回のセミナーを企画し、両名に登壇のお願いに行ったところ、共に快諾、日程調整をいただきました。当日の鶴田様のご講演でもありましたが、政府、特に国交省、経産省、農水省が強い横連携の上、「物流の2024年問題への対処」、「それを機会とした物流改革」への強い意志を、改めて私自身も感じた次第です。
二つ目は、「物流の効率化」に向けた色々な事例、取組を共有する場の提供、です。この目的を達成するためには、持続的可能且つ効率的な物流の実現に向け、長年にわたる取組を実行されてきた企業様から生の話を聞き、また、官からその取組に対する評価、支援についてご説明をいただくべく、パネルディスカッションの場を設けることとしました。
私の開会の挨拶で、物流改革は、一企業、一部門で成し遂げられるわけで無く、社内調整、顧客の取引先の理解、物流業者等の協力無くして、その実現は極めて困難であり、その点をどのように対処したのかも聞ければと、お話しました。
実際のパネルディスカッションでは、想定していた以上に突っ込んだ話を聞くことができました。
以下、2時間弱のセミナーで、以下の説明がありました。
セッション1・講演
・政府としては、持続的な物流を実現し、荷主事業者・物流事業者のWin-Winを目指し、その結果、「3方良し(含む、消費者)」の実現を図る。
・そのために関係省庁(国交省、経産省、農水省)の強い連携を図り、改正法により、荷主企業、物流企業が物流改革を進められる環境を整備し、また、その推進を更に後押しする。
・CLOは、企業活動の経営判断に影響力のある人を選び、「物流」、「SCM」を経営のど真ん中の一つとして位置付ける必要がある。人物要件としては、①社内全体を見られ、動かせる、②サプライチェーンを俯瞰的に見られる、③外交力(調整・折衝能力)のある方
・多くの荷主企業は、製品の販売面では、発荷主、資材・部材の調達面では、着荷主、CLOには、それら全体への関与が求められる。
セッション2・パネルディスカッション
・CLOは、企業活動全体を俯瞰して、全社最適を実現する立場として理解しているが、他部門の事を知らない、課題を知らないのが現実。
・CLOには、物流負荷の低減、取引の適正化の推進も求められる。
・物流改善を阻止する要因の一つは、社内に問題があり、過去踏襲、固定概念、物流業界への問題意識の欠如、また、競合他社との共同配送は、以前は、対抗意識があり実現が難しかった。
・外部環境の大きな変化により、共同配送について各社での社内認識にも変化があり、進められる状況となっている。「競争」から「共創」の時代。
・共同配送について、季節波動の活用による共同配送、製品重量を考慮に入れた積み合わせなどの水平連携、原材料サプライヤー手配の搬入車両を自社製品の販売物流に活用する垂直連携なども推進中。共同配送を更に進めるためには、複数社とのマッチング、そのためには、「共同保管」、「情報共有」が必要となる。
・モーダルシフトは、リードタイムの関係などもあり、過去、進まない部分があったが、社内での理解の取り付けに努め、一部シフトすると、その使い方、課題発見に繋がった。物流事業者にも多くの知見があり、その活用も有効。
・情報の標準化、相互活用に加え、配送車両のデジタル化、ソフトの充実等で、更に利便性が高まる時代に突入。
・行政として、まだまだ取り組むことがあり、インセンティブ、データの標準化、フィジカルインターネット等への取組推進、また、良い取り組みを披露する機会の創出、また、CLO、物流事業者と連携し、3本の柱、商慣習の見直し、物流効率化の推進、荷主企業・消費者の意識改革・行動変異を実現したい。
パネルディスカッション進行役をお願いした、現弊社顧問、流通経済大学教授の大島氏のまとめは、
・経営の中で、物流の位置づけを高めること
・皆で問題意識を共有し、協力して物流課題を克服すること
・一つのキーワードは、マッチング、これは同業者に限ら異業種とも、そのためには、コミュニケーション、ネットワーキングの場も重要
・物流改革、やればできる、そのような環境・気運になってきた
個人的な感想であるが、政府関係省庁の物流改革への強い思い、また、大きな影響を受けることとなる荷主企業の危機感をこのセミナーを通じ、改めて感じることができました。過去、各企業の物流戦略や取り組みは、クローズの世界であったが、それが共有され、「競争」から「共創」の時代へと向かうことは、効率化、高度化を進める上で非常に有意義であるといえると思います。
弊社NX総研として、物流の効率化、適正化に向け、以下のようなソリューションを提供させていただきます。
①CLOが役割を果たせるような、企業内における「物流統括管理」部門の組織設計と社内各事業部門・物流子会社を含む物流事業者との役割分担と責任所在の明確化支援
②物流改革のゴール設定およびロードマップ作成支援
③ロードマップ作成後のKPI・実行計画策定、実行支援
④現状の可視化及び課題抽出支援
⑤倉庫、輸配送の最適化支援(見直し)
⑥倉庫内オペレーションの自動化、省力化、効率化支援
各社によって、抱えている課題、優先課題等、様々と思いますが、先ずはお話を聞かせていただき、貴社の物流改革のサポートをさせていただければ幸いです。
(この記事は2024年6月5日時点の情報を元に執筆しました)
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