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物流業界でも女性活躍は進むのか?そのカギは?~現場職編~

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シニア・コンサルタント

大原 みれい

日通総研ニュースレター ろじたす 第22回ー①(2017年2月20日号 )

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【Logistics Report】物流業界でも女性活躍は進むのか?そのカギは?~現場職編~

2016年4月、女性活躍推進法が施行されました。これまでの物流業界では男性が中心的な役割を担ってきましたが、少子高齢化社会の進展が加速しており、このままでは将来事業継続が困難となる可能性もあります。そこで、345 万人といわれる女性の潜在労働力、およびダイバーシティ経営の観点から、女性労働力の活用への期待が高まっています。

今回は、道路貨物運送業の現場職における女性活躍事例をご紹介させていただきます。

◆女性の積極的な採用:㈱松下興業の例

海上コンテナ輸送を行っている㈱松下興業(本社:愛知県弥富市、代表取締役:松下誠)は、将来の人手不足を危惧し、昨年度より積極的な女性ドライバーの採用を始めました。海上コンテナ輸送は荷役を伴わないことから、物流現場職のなかでも女性向きの職種といえますが、会社としても、ワーク・ライフ・バランス(WLB)を支援する勤務制度を取り入れるなど、準備を整えています。

最近の採用においても、1名の募集に対し男女合わせて3名からの応募がありましたが、募集要件への合致および会社の採用戦略の観点から、女性の採用を決定しました。今回は経験20年のベテラン女性ドライバーの採用でしたが、同社では未経験者も歓迎しており、女性や若年層を広く受け入れる方針を取っています。

WLB支援として、フルタイムで働くことが難しい子育て中の女性を想定し、週3勤務や1日4時間の勤務を可能としており、採用時はパートタイム雇用となりますが、フルタイム(通常勤務)に移行後は正社員への転換が可能な制度へ改正しました。そのほか、男女所得格差是正のため、女性の給与水準を前年比で17.6%アップするという待遇向上措置や、女性ドライバー目線に立った業務改善(長距離運行の免除など配車手配の見直し、軽量タイヤチェーンの導入など)、施設面の配慮(女性専用休憩室の設置、輸送ルート上の休憩設備の確認など)を行っています。安全面に関しても、「バックする際は必ず一度降りて確認」することを徹底させたり、安全装置を取り付けたりするなど、一層の対策を講じています。
トラック運送業には、「3K(きつい・汚い・危険)」「男性社会」というイメージが根付いているため、このように女性が抱きやすい不安や懸念要素を取り除くことは、女性を採用するうえで極めて重要です(表参照)。

表:女性採用に向けた松下興業の取組み 日通総研作成

現在活躍している3名の女性ドライバーは、慎重かつ安全な運転とまじめで明るい人柄、きめ細かい仕事ぶりで、配送先でも評判がとてもよいそうです。 松下社長は、地元で事業を行う企業として、時間に制約のある労働者へ雇用機会を提供することや、従業員に対して十分な福利厚生を提供することは社会的責務であると考え、社員数33名の小規模な企業でありながら、高い意識を持って女性活躍のための取り組みを推進しています。

新法では、中小企業の女性活躍推進の計画策定は「努力義務」となっていますが、物流事業者の8~9割は中小企業です。業界の働きやすさの改善は、中小企業の参加なくしてはありません。また、女性を「輝かせ」「活かす」組織作りや意識・働き方改革を行うことは、男性を含むすべての人たちにとって働きやすい職場環境を作ることになります。今後、このような取り組みを行う事業者が増え、業界イメージが改善されれば、女性だけではなく多くの求職者に選ばれる業界になっていくことが期待できます。企業にとっても、他社に先駆けていち早く環境を整えることで、優秀な人材確保に繋がるでしょう。“Diversity or Die” – 女性活躍推進の取り組みをより早期に、より積極的に進めることが企業や業界の命運を分けるといえるのではないでしょうか。

改善活動は基本7ステップと支援体制が成功への近道

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