集合研修とeラーニング、メリット/デメリットの再考
今回、我々eラーニングを提供する事業者の視点で、集合研修とeラーニング、それぞれのメリット/デメリットを改めて確認してみます。
ポイントとしては、両手法それぞれで明確なメリットが存在しますので、そのメリットを生かし、受講対象者を見定めた上での使い分けになります。それでは以下で、集合研修では「リアルな共感」、「準備期間(リードタイム)」、そしてeラーニングでは「スケジュールの自由設定」、「LMS」をキーワードに、集合研修から話を進めて行きます。
コロナ禍前は多く行われてきた集合研修(講師・受講者が実際の場に集う)は、そのメリットとして、内容のダイレクトな伝達とリアルな場での共感、質疑応答の即時共有、受講者同士・講師との継続的な繋がりと言った点で、大きなメリットがあります。この先も、組織内の幹部候補者(野球で言えば1軍先発レギュラーメンバー水準)向けの研修は、集合研修の場で所謂メンター講師が個別コーチングのカタチで行うことが相応しいですし、そうあるべきとも考えます。
しかしながら、集合研修を社内で実施するには、以下、幾つかの点をしっかりと認識しておく必要があります。
①実施準備項目/関係者が多い。
②従って、実施までの準備期間(リードタイム)が長い。
③仕切り直しが難しい。
④社内講師擁立の限界、コストが嵩む。
①では、例えば外部講師に依頼する、その際の講師選定・契約取り交わし、コンテンツ確認、テキスト準備、受講者情報の確認、必要に応じテキスト印刷と事前に受講者へ配布、研修で使用予定の備品手配、教室予約・研修前日の教室準備、当日立ち合い、終了後の教室片付け、アンケート集計、等々が必要となり関わる人間も自ずと増えます。
②は、①の結果として必然的に実施までの準備期間が長くなります。
③は、パンデミックが発生時、直前中止の判断に至ると、それまでの準備が泡と散ってしまいます。仕切り直して翌月に再実施に至ることは、当方の経験上では殆ど無く、後日、テキストのみ送付で終わってしまうことが多いのが実情です。
④本来、集合研修は社内で研修テーマに関わる知見と本業特性を知った者が務めることが相応しく、加え講師としてのファシリテーション能力を具備した者は限られ、また彼らは社内でも案件で各所から声がかかるためスケジュール都合が合い難く、結果、外部の講師にご協力を頂くケースが多く見られ、コストも嵩む結果となります。以上の中でもNX総合研究所の経験を振り返ると、特に①に関して多くの労力を費やしてきました。
一方、eラーニングでありますが、コンテンツの作成とシステム化で準備期間が必要ですが、出来上がった教材を受講者が受講する上では、そのメリットとしてよく言われている通り、・いつでも/どこでも、・受講スケジュールの自由設定、・受講者ペースで学習を進められる、・実施期間中に繰り返し参照が可能、・管理者/上司はシステムによる進捗管理が可能、以上をスムースに進められます。翻ってeラーニングの難点を見てみますと、
①盛り込める内容に制限がかかる。
②受講者がやっつけ仕事で受講するリスクが伴う。
③ネットワーク/システム環境に敏感である。
④LMS(Learning Management System)をカスタマイズすると別費用が発生する。
①に関しては、eラーニングは、端末画面(PCやタブレット等)で学習するので、1枚のコンテンツスライドの文字が小さいと(フォント20以下は厳しい)、学習上で受講者がストレスを感じてしまうので詰込みは禁物となり、コンテンツの適正ボリュームがある程度決まってしまいます。
②はメリットである受講者のペースで進められる点の裏返しになりますが、しっかり考える流れでコンテンツを構成しないと受講者がやっつけ仕事でこなしてしまうリスクが伴います。
③は通信ネットワーク上で学習を進めるので、不安定な環境下では画面をスムースに動かすことが出来ず、操作上でストレスが溜まります。
④eラーニングを動かすシステムがLMSで、その主な機能は、受講者が学習する上でのコンテンツの展開と学習管理者が配下の受講者の進捗を確認出来るものです。LMSは一般的にベンダーさんの提供するパッケージソフトウエアを採用するケースが多いので、スタンダード機能に無い管理項目等を追加の場合は、その追加可否を含め別途見積りとなります。
以上、集合研修とeラーニングのメリット/デメリットを改めて纏めてみましたが、お薦めの方法としては冒頭でも少し触れましたが、幹部候補者向けの研修は、社内の知見者講師や外部の熟練講師を招き集合研修で行い、新入社員向け講座や今日まで若手層向けに行ってきた座学講習は、eラーニングで行う使い分けです。
また、過去に当社でも集合研修やeラーニング以外で教育コンテンツを受講者に展開するツールを色々と検討してきました。例えば、VR(仮想現実)でありますが、そのメリットとしては、体験型学習が可能、新鮮で学習のモチベーションが上がる、すぐに体験できないことが体験可能、等を挙げることができます。確かにVR空間内での臨場感ある体験は、受講者の興味や関心を引き付け、能動的に学ぶようになることは十分に想定できます。例えば物流現場で考えると、ミスが発生しやすい庫内ピッキングの特定場面や、事故が起きやすい交差点(1丁目10番地10号)の運転場面をVRで作成し体験する等です。しかしながら、VRを導入する際の大きな障壁が、長時間の学習に適さないこと(ゴーグル使用による受講者の肉体負担)そして機器の調達やコンテンツ作成に関わるコストで、その結果VRでの教材展開を躊躇してしまうケースを見てきました。
この先、企業内研修を進める上では、その対象者と教材内容を鑑み、適切な伝達ツールで展開してゆくことになりますが、NX総合研究所は当面、教育教材の見せ方、受講者管理方法に工夫を加えてeラーニング形式の研修を充実させて行く予定です。
eラーニングは実際の画面をご覧になって頂く事が一番良いかと思い、当社指定の7日間となりますが、ご提供中の物流eカレッジの全講座が参照可能なログインIDをご案内致します。ご希望の方は、当社お問い合わせのお問い合わせ内容に「eラン講座参照希望」とご記入の上、2024年9月20日(金)までにお申込みください。物流eカレッジの全講座が参照可能なログインID/パスワードをご連絡致します。
NX総研・物流eカレッジについて、ご検討を頂けましたら幸いです。どうぞよろしくお願い致します。
以上
(この文書は2024年8月21日時点の状況をもとに書かれました。)
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