倉庫作業分析ツール「ろじたん」 初めての海外導入
日通総研ニュースレター ろじたす 第26回ー③(2017年6月19日号)
【Product Development】倉庫作業分析ツール「ろじたん」 初めての海外導入
スマートフォンとWEBを使った倉庫作業分析ツール「ろじたん」は、2015年10月に正式に展開してから、80を超える拠点に導入いただきました。簡単・スグに・低コストで導入できるコンセプトが評価され、直近では月10拠点ほどのペースで導入しています。業種や倉庫規模は様々ですが、なんと!太平洋を越えた異国の地でも正式に導入されました。
サービス開始当初から、「海外でも利用できないの?」というお声を複数のお客様より頂戴しておりました。技術的には全く問題なかったのですが、当社が海外におけるサポート体制を有していなかったため、「当面は難しい」と回答せざるを得ない状況でした。
今回、導入された海外の拠点は、米国日通のロスアンゼルス支店のトーランス倉庫です。米国日通への導入であったことから、日本通運グローバルロジスティクスソリューション部と米国日通本社ロジスティクス企画部の全面的なサポートにより実現しました。ちなみに海外での名称は「Logitan」となります。みなさんご存じの「Calpis(カルピス)」が米国では「Cow Piss(牛のオシッコ)」と聞こえるらしく、「Logitan」は大丈夫か?と少し心配しましたが、どうやら問題なさそうです。
トーランス倉庫は、複数荷主の貨物を扱う倉庫です。これまでは、荷主別に作業チームが構成されており、多少の応援はあるものの、基本的にはそのチーム内で作業を完結する仕事のやり方となっていました。A荷主のチームは定時前に終わるが、B荷主のチームは作業が終わらず残業するといった具合です。
米国では残業代の支払いルールが州によって多少異なります。トーランス倉庫があるカルフォルニア州では、8時間を超えると通常賃金の1.5倍、12時間を超えると2倍の賃金を支払う必要があります。連続出勤7日目に対する支払いなどもあるようですが、詳細は省略します。要するに、日本よりも残業代が割高であり、「適正な人員数でいかに残業を抑えられるか」が勝負となります。
写真1:現地スタッフと人員配置についてミーティング
写真2現地スタッフに「ろじたん」の使い方をレクチャー
9:00、12:45、14:45、17:00の1日4回、管理者と現場リーダーが出荷確定物量と完了実績から、荷主別(チーム別)の予定終了時刻を確認します。このとき荷主別の基準生産性を使います。余力のあるチームから残業が発生しそうなチームへ応援者を再配置します。また、各時間で数値を入力すると簡易に適正人員が算出できるEXCELツールも構築しました。荷主別の生産性をきちんと把握する部分で、「ろじたん」の貢献度は大きかったのではないかと思います。
トーランス倉庫では、「ろじたん」を使って次のことを行いました。①荷主別の基準生産性の計測、②曜日別の基準人員数の算出、③1日4回の人員配置、④日々の荷主別生産性の把握です。なかでも、③1日4回の人員配置の調整は、残業の抑制に大きな効果を発揮したとみられます。
「ろじたん」を導入したことで、作業スタッフの意識にも変化が起きました。他チームへの応援機会が増えたことにより、作業のやり方や他チームの業務の負荷状況を気にするようになってきました。結果的に、チーム間の残業時間が平準化され、合計の残業時間は削減されました。今後は、取得したデータを改善活動へ活用することも検討しているとのことです。
トーランス倉庫をグローバルのモデル拠点と位置付け、日本通運グローバルロジスティクスソリューション部と米国日通本社ロジスティクス企画部と一緒に、多くの倉庫で「ろじたん」を活用してもらえるよう、今後も推進していく予定です。
今回のロス出張では、家族からもいろいろ期待されており、米国日通の課長さんに、「女性が喜ぶお土産」として「BATH&BODY WORKSのハンドジェル」を教えてもらいました。妻と娘が大変喜んでおりました。ロス出張で家族へのお土産に是非ご活用下さい!
「ろじたん」とは、スマホアプリとWebの連携により、倉庫内の作業時間を計測するツールです。
掲載記事・サービスに関するお問い合わせは
お問い合わせフォームよりご連絡ください
井上 浩志が書いた記事
-
ブログ / 1,355 views失敗しない物流情報システム導入のポイント! (序章)
情報システムの開発や導入に関わるトラブルを回避するためにはポイントを押えた上流工程が欠かせません。特に上流工程といわれる要件定義と基本設計は、現状の正しい理解と…
-
ブログ / 9,665 viewsトラック運賃のトレンドをいち早くキャッチしよう!【原価・実勢運賃編】
荷主企業や運送事業者は、運賃に影響を与える要因の動向をいち早く客観的に捉えることが求められます。双方の立ち位置における運賃変動への対応力の強化を目指したブログ、…
-
ブログ / 2,607 viewsトラック運賃のトレンドをいち早くキャッチしよう!【労働力編】
ドライバー不足等から高騰が予想されるトラック運賃への対策は、避けて通ることができない課題です。荷主企業や運送事業者は、双方の立ち位置における対応力を強化するため…
この記事の関連タグ
関連する記事
-
ブログ / 640 views
-
ブログ / 700 views理論在庫(適正在庫)算定のかんどころ
理論在庫(適正在庫)の算定について、巷の教科書的な資料を補足する視点で安全在庫を主体に語っています。巷の解説資料でも計算式自体はたくさん記載があるので、計算する…
-