【物流改善】物流データを物流改善に活用できる3つのノウハウ

これまで活用できていなかった物流データを有効活用できるようになるためのノウハウは、①物流データ活用の目的を明確にする、②仮説立てをし、検証に物流データを使う、③物流データを階層構造で見る、の3つといえます。そのノウハウにより、物流データの種類や量に依存せず有効活用が行えるようになります。
ポイント①:物流データ活用の目的を明確にする
物流データを改善に活用する上で、意識すべきことがあります。それは「何のためにデータ扱うか」ということです。やみくもに物流データを見て集計をしても、良い結果を得ることは出来ません。例えばWMSから抽出可能な作業実績から、出荷生産性(1時間あたりの処理量)を集計したとしましょう。曜日毎の傾向値や個人別の生産性差異等がチェックできるかと思います。しかし、目的を持たず進めてしまうと最終的に出荷生産性が見えて、「だから何だ?」という疑問のまま終わってしまいます。つまり、なんとなくデータを扱い始めると、結果としてなんとなく終わってしまうケースが多いということです。
一方で、目的を定義してデータを扱うと集計イメージが変わります。先ほどの例で挙げました、WMS実績から出荷生産性を集計する際に、新たに「作業スタッフ人員配置の妥当性を検証すること」を目的とした場合を考えてみます。単純な出荷生産性の把握のみにとどまらず、「物量が多い/少ないに限らず維持することが出来ているか」「基準となる生産性は何であるか」「予定物量の精度は妥当であるか」といったことが、連鎖的に必要となります。結果として、これまでは感覚値で人員の配置を行っていたが、基準生産性(生産性の平均値)と予測物量を活用して定量値で人員の配置を行うといったことができるようになるわけです。
ポイント②:仮説立てをし、検証に物流データを使う
物流データの種類と量が多ければ多いほど、切り口も増えていきます。逆に増えすぎてすべてのデータを効率的に扱えないことが多々あります。そのため、日頃感じている課題感から仮説立てを行うことを意識してデータを見るようにします。
例えば「輸送費のコスト削減余地の検証」を目的としてデータを扱うとします。まずは現状把握として発着地別の物量、車格、コスト、アイテム、積載率等を集計するでしょう。しかしながら集計結果とはいえ、日別/月別推移といったことを考慮すると1件ずつデータを確認していては、どれだけ時間があっても足りません。そこで仮説立てを行い、深堀するデータの取捨選択をします。
もう少し具体的な例を以下に挙げます。とある企業の東北圏エリアの輸送ネットワークと出荷物量とお考えください。

宮城県にある仙台ターミナルから、東北各県への配送を行っていますが、出荷物量の1/3を占める福島県への納品が戻り輸送となっています。この輸送に焦点を当て、「仮に戻り輸送を廃止し福島県のみ東京ターミナルから直送した場合の方が安くなるのではないか?」という仮説立てを行います。そうすることで見るべきデータが決まり、当初の目的であった「輸送費のコスト削減余地の検証」の1つを行うことが出来るのです。
というわけで、データを見る場合は数字と合わせて、そもそもの運用が正しいのかということをチェックしてみてはいかがでしょうか。
ポイント③:物流データを階層構造で見る

データを見る際には、階層構造で切り口を定義して管理します。例えば、ピッキング作業の分析を行う際には、物流データを以下のような階層構造で定義します。
具体的な改善施策はピッキング作業の1つ1つの行為レベルまで落とし込みを行い、ムリ、ムダ、ムラといったことをチェックして検討します。しかしながら、ここでの目的はピッキング作業の効率化(=生産性の短縮)であるため、最終的に全体のピッキング生産性が向上したかどうかをチェックする必要があります。もちろん荷主毎(アイテム毎や商品カテゴリ毎等、作業形態が異なるものであれば可)でも作業性は異なるため細分化します。
このような物流データの管理・集計・分析を行いながら管理をしていくと、生産性が悪化/向上した時に、どの作業に問題があるか、またはどの作業の改善が生産性向上に貢献したかということが分かるようになります。
まとめ
今回はほんの一部ではありますが物流データを有効活用するためのノウハウについてご紹介致しました。目的を明確にして、仮説立てを行い、データを階層構造で管理するといったことが基本的な活用方法だと考えます。
もちろん、実際の運用しているシステムで取得可能なデータはざっくりしたものが大半であり、改善に活用できるデータにも限りがあります。たとえばピッキングの作業時間についても、HHTで作業開始と作業終了の時間をデータとして取得することは出来ますが、ピッキングを行うための準備作業等のデータまで見ることは出来ません。またピッキングと検品のみに作業項目が絞られてしまい、事務作業等のデータ分析に活かすことが困難な状況となっています。
そういった場合に、現状のWMSから取得出来るデータに絡めて、+@でIoTツールを活用して作業者の動きや業務内容をデータ取得するなど、改善のための詳細データの取得を行ってみると、これまでの改善活動の方法が変わってくるでしょう。
また、取得したデータを活用するための集計には時間が必要となりますので、BI(Business Intelligence)ツールを導入し、改善活動を一貫して時間をかけず成果を出していくという、仕事の仕方もトレンドとなってくるのではないでしょうか。
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